歓迎(?)レアル・マドリッド

白い巨人レアル・マドリッドのアジア営業ツアー第 1 戦。いまさら選手をレベルアップすることも難しいだろうが、オシム監督がどうはっぱをかけるのか、楽しみにして録画を見る。
全体的な感想は「市原よくやった!」に尽きる。そして、あのくらいのチームだったら、レアルというのはとても「ちょうど良い相手」になってくれているのだなぁ、というのに驚いた。もちろん、超攻撃力を発揮したら大変なことになるのはわかるのでテキトーに怪我しないようにやってるのだとは思うが、特筆すべきはディフェンスのザルぶり。あれじゃ、優勝チームの倍失点するのもわかる。何しろ、欧州の一流クラブからくらべれば至って普通レベルのジェフのカウンターが通じる(決定力の差と個人守備力の差が出たが)のだから。
というわけで、ジェフの大健闘ぶりは普段のジェフが出てました。で終わってしまってもかわいそうなので、健闘の中身を。まず、試合開始のガチガチぶりはさておき(おいおい、これは W 杯最終予選じゃないんですよ〜というくらいガチガチだった)、ダイナゴルランとサポート、フォローといった連携部分がとても訓練されている。競り合いでボールがこぼれる、手詰まりになる、攻め手が無くなる…と思った瞬間に、必ずと言っていいほどパスコースが生まれている。それも、1つというのはよほどの緊急時で、前や横にできてくる。おそらく画面で見ていてそうなのだから、グラウンド全体ではもっと余裕があるのだろう。コンパクトに連携をとる間合いで、糸がついているように動く。そして、前の選手を追い越すタイミングが合っている。たくさんこういうコンビネーションをやっているんだろうなぁ、というスムースさ。ほめすぎかもしれないけど、守備はギリシャのように、攻撃はデンマークのように、とても訓練された動きを披露した。得点の差は、個人の差。決定力のある選手を持っているかいないか、の差でしかない。明らかにジェフが演出した決定機は、レアルのそれをはるかに上回る美しい展開が多かった。この結果は、セカンドステージに向けて大きな糧となるに違いない。なにしろ、親善試合とはいえ、あのレアルに対して自分たちのできることを出し切ったと見えたから。

そして、なんでレアルはザルなのか?を少し考える。
まず、個々の役割がはっきりしていないように見える。誰がどのタイミングで最初にボールへチャレンジするのか、相手がクロスにダイナゴルランしたら、どうマークを受け渡すのか、どのレベルまでラインを保持するのか、プレッシャーがかかったときに、どう囲みに行くか。中盤での集中守備の場合は、非常にすばやく囲えるのだが、カウンターに対する対処がマズイ。右から左、左から右に流れるだけで、簡単に真ん中に選手が寄ってしまい、サイドががら空きになってしまう。スピードの関係で危ないシーンは凌いでいたが、スピードの速い選手がジェフの両サイドに居て、中に京都へ行ってしまったが、チェ・ヨンスが居たら…。もしかしたら、ドローもしくはそれ以上という結果になっていてもおかしくなかった。タラレバだし、相手も日本に来たばかりだからという言い訳もあるだろうが、あの程度では先が思いやられるなぁ…。
カマーチョ監督は厳しい人らしいので、これから修正していくのだろう。レアルのファンではないので、どうなってもいいんだけど、銀河軍団なんていわれるような陣容なのだから、せめて素晴らしい内容を見せてもらいたかった。

レアルは期待通りの高いスキルは見れたが、チームとしては期待外れ。対照的に、ジェフが素晴らしい組織サッカーで質が高い内容にしてくれたように思う。それで「ありがとう、ジェフ市原」となるわけであります。