vsパラグアイ(CS)

ノックアウト方式のトーナメント戦。あの堅守・難敵のパラグアイ相手にPKまで行ったことが良いのか悪いのかは、パラグアイの今後にゆだねるとして。

試合内容自体は悪くなかった。つまり、良いわけではなかった。試合の入り方は良かったと思う。果敢に前から守備をして攻撃するという意識を見せた。それは良かった。でも、なんとなくだけど、リーグ戦の戦い方から頭が切り替わってないような、かなり慎重な試合運びに徹してしまった…というのが全体的な印象。

では、個々の感想を。

川島永嗣:GK
先に言っておくとPK戦はノーチャンスだったが、うっすらと「気負いすぎモード」だったかもしれない。どのキッカーも上手かった。試合の中では、いつも通りの信用抜群・安定感ばっちりの川島。再三の危ない場面も辛うじて凌ぎ続けた。ゴールキックやフィードも精度が高くなって、今の段階では最高の状態かもしれない。

駒野友一:DF
今回はスピードとテクニックに優れたアタッカーに1枚でさらされる回数が多く「穴」とまでは言いきれないものの、ピンチは駒野のサイドから発生していたような印象。とはいえ、後半の遅い時間〜延長にかけて攻撃参加できていたので、決して悪い出来ではない。PK失敗は本人が一番悔しいと思うので不問だが、なぜ彼が蹴ることになったのかは疑問。良い選手だと思うけど、ツキのある選手でもなく、何かを持っているという印象がないので、こういう重要な役割を任せる選手ではないと思っている。蹴る前にいやな予感がしたのが当たってしまった。

田中マルクス闘莉王:DF
守備面は問題なし。たいしたほころびもなく、パラグアイのしつこい守備を凌ぎきった。攻撃については「点を取る」ことに頭が行き過ぎて、後半終了間際のヘディングなどは、その象徴的なシーン(落ち着いているときは、あそこから折り返してくるはず)だったと思う。

中澤佑二:DF
闘莉王同様、守備面は問題なし。それどころか今日の守備陣の中では「中澤様々」といえる出来だったという印象があった。今までだと素早いステップで翻弄されて振り切られるようなところでも、しっかり対処していて良かったと思う。

長友佑都:DF
豊富な運動量と忠実な守備、プレーイングスペースの広さはこの試合も問題なし。しかしながら、やはりボールコントロールの技術、そして攻撃時の対人プレーでは、世界基準に届いていた…とは言い難かった。再三のチャンスを「モノ」に出来たら、もっと上のステージが見えてくるような気がする。

阿部勇樹:MF
この試合でも重要なキーマンとして、アンカーをつとめ、全く期待以上に仕事をしていたと考えるのだが…監督はそうは思わなかったようで、単純に運動量が鈍った段階で退くことになった。強いて言えば長友ばりのスタミナを要求したいのだけど…難しいか。

遠藤保仁:MF
ハブとしてはこれまで通り十二分に機能したものの、やはり守備時の実行力がいささか物足りない。走行距離に比べてターンオーバーの機会が目立たないのが良い例だと思う。負け試合ほど、ささいなことが目立つもので。

松井大輔:MF
調子は持続していたのだけど、グループリーグほどの輝きは見られず。ボールは収まっていたのだけど、効果的なプレーが出来たか…と言えばそう言い切れないところがあった。とはいえ、途中で下げるには惜しかった。

長谷部誠:MF
この試合では延長の時間帯でも前線から最終ラインまで顔を出していて、攻守の中核として運動量を発揮し、これまでの3試合より存在感があったと思う。それだけに敗戦が惜しい。

本田圭佑:FW
オランダ戦よりはずっとまともに機能した。パスはことごとく足元に納め、簡単にはたき、相手はファウルでリズムを崩すことにした…と見えるような働きをしていた。しかしながら、いざボールを持って前を向いたときの判断がこれまでに比べて格段に悪く、延長前にあきらめてもよかったかもしれない。もちろん、かなりの博打ではあるが。

大久保 嘉人:MF
この試合で唯1人だけ、その武器であるドリブルが完璧に通用していた。なぜ、松井も本田も手こずっていた守備陣をスルスルとすり抜けられたのか。水を得た魚のように生き生きとプレーしていたと思う。それだけに無得点で終わったのが惜しい。

中村憲剛:MF
フィジカルコンタクトに難のあるイメージが強く、ここで投入されて同機能するんだろう…変えるなら遠藤じゃないのか?と思ったが、かなりシンプルに通用していたので驚いた。ドリブルもパスも守備もアイディアも、スタメンに起用できるレベルではないかと。

岡崎 慎司:FW
うーん。この人じゃなかったなぁ…。後述するが、この人が入るタイミングで玉田、もしくは森本だったような気がする。結果論ではあるけど、岡崎は、岡崎なりによくやっていたと思う。残念ながら独力で突破できる選手ではないし、守る時間でもないし。

玉田 圭司:FW
岡崎の時間帯に入れられていたら納得感があった。期待通りチャンスを作ったけども、もっともっとエゴイスティックに、ボールを拾いまくっても良かったのではないだろうか。なんとなく、お客さん的な、妙な遠慮があったようにも見えたのがちょっと残念。

岡田武史:監督
スタメンを変えなかったことは◎。しかし、相変わらず選手交代のコンセプトがちっともわからん。日本は、いつになったら「選手交代で博打が打てる監督」が手に入るんだろうか。足の止まったパラグアイに対して、ガンガン走る選手を2枚入れたら、状況はもっと好転したんではないんだろうか…というのが悔やまれる。いやマジで、戦況を見てるのかと問いつめたい気分。…勝てたよなぁ。

残念ながら日本のW杯は終わったけども、ちゃんとした戦う意識の高い選手を選抜すればここまで戦えるんだ、というところがわかったので、その意味で良い大会であったと思う。しかし、オシム氏も言っていた「こんなに勝てる可能性の高い相手と戦える機会はそうそう訪れるものではない」というのには同意できる。チャンスを逃したなぁ…というのは本当にそう思う。残念。

vsオランダ(地上波/CS)

この試合の現実味のある希望的な結論は、どんなに無様でも「勝ち点1奪取」だろうというのは、「奇跡信奉者」を除けば同意してもらえる人は少なくないと思う。
という前提から現実の結果を見れば、いささか残念ではあるものの、最少失点差での敗戦は全く悪い結果とも言い難い。何しろ相手が悪すぎるわけで。

試合の全体的な流れは悪くなかったと思う。好き放題にやらせず、数的優位を保ってしつこく食い下がって守っていたので。

で、選手評。

川島永嗣:GK
失点の強烈なミドル(本人が言ってるんだからブレ球らしいんだけど…)に対しては、気合いが空回りしたようにも見えた。鋭く反応しすぎて、シュートコースを行き過ぎてしまった−つまり気負いすぎたように見えた。それ以外は、後半に危ない抜け出されたピンチを阻止するビッグプレーを1度披露するものの、失点後からペナルティエリアの守備範囲がいつもより狭かった。DFラインとそういう相談になっていたのかもしれないが、あまりにゴール前に張り付きすぎのような気もした。それ以外は全体的に、良くも悪くも普通の川島という感じ。

駒野友一:DF
W杯の準備期間以降、覚醒した感がある。今野には申し訳ないが、故障してくれたおかげで日本は、安定感のある、バランスの良いサイドバックを1人手に入れることが出来た。弱気なバックパスは完全になりを潜め、前向きに進むプレーが増えた。オランダの左サイドにエリアが入った時間、長友とサイドを代わったものの、腐ることなく左の守備を淡々とこなす姿勢も良かった。

田中マルクス闘莉王:DF
制空権は五分五分。このレベルでも普通にやれることを改めて印象づけた。前節自重していた攻撃参加が解禁されたのか、パワープレーになる前から前線へ顔を出す「いつものプレー」を披露。失点の原因になったクリアはあるものの、全体的にはこの人にしては普通。ただし、相手関係を考えると「よくやった」という評価にもなるかもしれない。

中澤佑二:DF
失点シーンではボールに鋭く寄せるものの、世界一のクラブを率いる名手の鋭いミドルを止めるに至らず。しかしながら「完全復活」と言い切ってよい安定感を披露し、それ以上の加点を許さなかったのは良かった。ただ、1人でこのレベルのアタッカーを無条件で食い止められるレベルでもなく、残念ながらここが限界点かもしれない。

長友佑都:DF
守備にも攻撃にも顔を出す運動量は相変わらず。いっそ両サイドが長友だったら、日本はもう少し楽に戦えたかもしれない。後半、エリア投入時に駒野とサイドを入れ替えたことからもわかるとおり、指揮官からも絶大な信頼感を勝ち得ている。終了間際にデ・ヨングに転ばされたプレーは、審判によってはPKゲットとなるようなきわどいプレーだった。(もちろん「転ばされた」と書いたとおり、あれはファウルだと思うが)

阿部勇樹:MF
中盤の王様は今やこの人かもしれない。王様が言い過ぎなら、中盤のリーダー。この試合ではさすがに攻撃まで手が回りきらなかったものの、守備で貢献。海外の一流選手たちとの戦い慣れれば、まだ成長する余地はあるかもしれない。

遠藤保仁:MF
この試合でも積極的に守備を行い、パスを的確にさばいて貢献。今回じっくりと見て物足りないなぁ…と思った理由は「攻撃を操っている」という感じがないこと。瞬間的に好機や隙を演出する機会は多いのだけど。後半に中村俊輔が投入されてから、ポジションがかぶったりして、リズムの悪くなった時間があったのはややもったいなかったが、それは遠藤のせいというよりベンチワークのせいではある。

松井大輔:MF
この試合でもキレは健在。時折見せるトラップの雑さが無ければなぁ…という残念さも健在。つまり、綺麗に放ってみせたミドルシュートも、もっと楽にコースが狙えていたかもしれない。結局、松井にとってのビッグチャンスはあれだけだったのだから。運動量の落ちた時間で退いたが、この試合に限って言えば残した方が良かったかもしれない。やはり、外国人相手の間合いがよくわかっている選手は最後まで頼りになると思うのだが。

長谷部誠:MF
監督にペース配分を考えなくてよい、と言われているのか、今回も途中でお役ご免。目立って息切れしているようには見えないが、下げられちゃうんだなぁ…。どう考えても、欧州で慣れてる人は残した方が相手も嫌がるんじゃないかと思うんだけど、あのメガネの指揮官はそういう発想はない模様。

本田圭佑:FW
今日の1トップはさすがに無理があったか。オランダ選手と五分で競り合う強さは頼もしいものの、効果的な攻撃への展開はほとんど無かった印象がある。後半、目に見えて運動量が落ちたので今日は代えても良かったのではないだろうかと思うのだが…あの人のメガネには何かが見えていたのかもしれない

大久保 嘉人:MF
この試合は攻撃重視だったのか、ゴリゴリとドリブルで突き進みシーンが目立った。そのままシュートで終わった場面もあり、前節の鬱憤を晴らすかのような活発さが印象的。大久保のクイックネスで切り込まれると、さすがに転ばされる他無いのはわかるのだけど、無用なアピールが多すぎるという悪い癖が出たのが残念。焦らず、淡々とプレーしてほしかった。調子はすこぶるよさそうなので、精神的に落ち着いた状態で望めれば、次は期待できるかもしれない。

中村俊輔:MF
運動量の落ちた松井に代わって出場。が、一言で言えば、やっぱり要らない選手。もう終わっている。なぜ走ってスペースを自分で見つけてパスをもらおうとしない?なぜ簡単にボールをロストした上に守備をタラタラしてる?なぜせっかく受けたボールをコネたあげくに、何の意味もないつなぎで逃げてごまかす?本当に役立ってないし、自分に期待された仕事が全く理解できていない。

岡崎 慎司:FW
この試合でも残り時間が少なくなってからの登場だったにもかかわらず、決定機に飛び込んでくる勘の良さはあるものの、やはり「なんだかんだで得点する」のような、ある意味神頼み的な点取り屋にはなれず。ここでも決めていたら、間違いなく頼れるストライカーとして不動の地位を築けると思うのだけど。

玉田 圭司:FW
完治してないんじゃないのかなぁ。足の怪我。「らしさ」は少し出ていたが、いつも見せるような、張り切った、キリキリとつっこんでいくドリブルはほぼ無し。良いところもほとんどなくタイムアップ。明らかに物足りなかった。


岡田武史:監督
先発を代えなかったことは評価したい一方、ベンチワークはイメージがちぐはぐで良くなかった。中村俊輔を入れるなら同タイプの遠藤を外すべき(受け手を減らしてパサーが増えても意味ない。お互いに使いあう関係にもない)だし、岡崎を入れるくらいなら、競り合いに強く、シュートまで強引にいける森本の方が良かったし、怪我をかかえた玉田を入れるくらいなら、高さがあって走り回れる矢野で良かった。どうせ闘莉王をあげてパワープレーしたんだし。そして、運動量が激減した本田を外せなかったところも、柔軟性に欠けてるとしか言いようがない。どうにも動き方が悪くて損をしたという印象がぬぐえない。まぁ、最大のミスは中村俊輔を使ったことなんだが。


というわけで、永遠に詰めようのない1点差(だと思う…)で完敗を喫した日本は、次を最低でも引き分け以上で終えなくてはならなくなった。オランダよりは下ではあるが、明らかに格上でデカイ相手。どう戦うんでしょうか。ここまでの2試合とも、些細なことを除いて比較的満足な内容と結果で来ているので、ぜひトーナメントへ向かってほしいところではある。

vsカメルーン(地上波)

いいとこ、スコアレスドローか、0-1あたりかなぁ…と悲観的になっていたけど…。内紛があるようなことが聞こえてきていたとはいえ、これほどカメルーンがもろくなってるとは。それから、よく走りましたな。日本は。平地のゲームより動いていたんじゃないんだろうか。
久々に、個々の評価をば。


川島永嗣:GK
どこかツッコむところがあるかな。いや、無いと思いますな。今回は。集中力が高く、難しいクロスへの飛び出しの判断もミスらしいものは思いつかない。クロスバーを叩いたノーチャンスの1本くらだろうか。ヤバイ!と思ったのは。
駒野友一:DF
体格的にはほぼ全く通用していない感じがしたものの、必ず、誰かとグループになって守ることと、粘り強さ、出足の良さで貢献。攻撃にも顔を出せたので、今までの中では破格の出来だったかもしれない。何しろ戻すパスがほとんど無かったし。
田中マルクス闘莉王:DF
「どうした?おなかでも痛いのか?」ってくらい、おとなしくきっちりとDFラインを形成し、安易な攻め上がりはゼロ。攻撃参加は1回あったかなぁ…というくらい。終了間際につまらんカードを1枚もらった以外は、堅く守ったという印象。高さは頼りになりますな。カメルーンのアタッカーに裏をとられるような場面がほとんど無かったのも、出来が良かったような印象になった要因かと。
中澤佑二:DF
このところ見せていた、不安定さは無し。闘莉王同様に、最大の懸念である裏へ抜けたボールに対して「ヨーイドン」な場面がほぼゼロだったことは、ラインコントロールとMFとの守備の連携の良さの賜。かつてアジア杯で見せた粘りの片鱗もうかがえ、今日の出来なら岩政にポジションを譲ることはない。
長友佑都:DF
攻撃の物足りなさは、元々不器用なのでスルー。守備に関してはいつも通りの気の強さと運動量を発揮していたので、この人にしたら次第点ではあるけど、日本の中では間違いなくトップクラス。「今大会後に海外へ買われてしまえ!」という淡い期待を持って後2試合を楽しもう。
阿部勇樹:MF
すっかりセントラルミッドフィールダーとしての感覚を取り戻し、浦和で披露しているような、プレーイングスペースの広さと危ないところを埋める勘の良さを発揮。終了間際にイージーにボールロストした場面以外は、危なげなく任務遂行。後2試合、警告をもらわないで戦えるか?が日本の生命線。
遠藤保仁:MF
守備には期待していなかったが、空いたスペースを埋めたり、1列前へ進出して寄せたりと、そこそこ貢献。今までは、この「そこそこ」すら出来なかったので、大きな前進。日本がボールポゼッショナーになった際の落ち着きぶりは、相変わらずワールドクラス。無用にこねくり回すこともなく、小気味よくはたき、ハブとして機能できるので、この人が自分でボール奪取する回数がもっと増えると、日本はものすごい楽なんだけども。
松井大輔:MF
アフリカ系黒人選手の多いフランス・ディビジョン1でプレーしていたこの人を、今日使わないでいつ使うよ?という期待通りのプレー。軽快なボールコントロールで相手の間合いを見切ったドリブルとキープは、間違いなく日本を楽にした。アシストになったセンタリングの前に披露したフェイントは、非常に簡単ながら、今まで日本人ができなかったものの1つ。今日は後半に退いて岡崎に代わるまで消えなかったのもよかった。
長谷部誠:MF
「げ!下げるかよ!」と思わず声を上げてしまった信頼度抜群のキーマンとして、この試合でも存在感を示す。後半の苦しい時間帯で放った意表を突くミドルシュートとその威力を見るに、改めて現役ブンデスリーガーのレベルを垣間見た感じがした。欲を言えば、本田、大久保あたりとの連携がもっと成熟すると、ものすごい期待が高まるのだけど。
本田圭佑:FW
さすがに超真剣モードだったのか、後半の真ん中あたりから終了まで運動量が激減するまでは、今までより守備にも貢献していた。不慣れな1トップでサイドに流れた時間帯もあったが、ボールの収まり方はさすが。…などと細かいことはどーでもよくなるのが、得点したこと。決してすばらしいゴールではないが、決めたことに価値がある。
大久保 嘉人:MF
後半37分に矢野と代わるまで、コートジボワール戦で見せた献身的な守備を披露。これは本物だろう。神戸で三浦監督にたたき込まれたか?この試合では、前回の守備一辺倒から攻撃参加も増えたが、なかなか機会に恵まれず。それでも、仲間へのアピールは続け、腐らず、短気を起こさずにプレーしているのは頼もしい。
岡崎 慎司:FW
運動量の落ちた松井に代わって出場。長谷部のミドルがはじかれたところを詰めたプレーは、オフサイドになるも、クロスバーを叩く惜しいシュートだった。チャンスさえあれば点が取れそうな気もする反面、岡崎に前のエリアでシュートを打たせるにはどういうルートがあるかな…という日本代表自体の問題があるのも相変わらず(その解答の1つがミドルシュートなわけだけど)。外国人相手でも自力で打開できる本田、松井、大久保に1歩譲るのは仕方ないかも。単にファウルもらうなら十二分の働きはできるのだけど。
矢野 貴章:FW
後半残り10分程度という短時間ながら、時間稼ぎ&前線からの守備に貢献。ただなぁ…。もう少し、点を取りに行く気迫だけは見せた方が良いと思うぞ。相手に対してのプレッシャーにもなるんだから。ちょっと馬鹿正直に守備をしすぎな気もした。
稲本 潤一:MF
あまりに少ない時間で、しかも、パワープレー連続な流れに入れられるという厳しい扱いであったが、そういうのにも動じない人材となると…やっぱりこの人しかいないかもと思う一方で、時間稼ぎのタイミングで小野が入れられたドイツ大会の悪夢がよぎった。稲本は人に強いタイプだけど、スペースを効率よく埋めたりすることが上手いわけではない。入れるなら、中盤で走り回る選手とならわかるのだけど。取り越し苦労になって良かった。
岡田武史:監督
こういう人選で最初から臨んでてくれたら、ここまで叩きたくなる感情は出なかったのだけどなぁ…。勝ち点3を取ったことはすばらしい仕事だと思う。選手交代のタイミングも結果的には成功したし、就任以来で一番のナイスゲームだったかもしれない。ベンチ的な意味で。なにより「機能しない人」をきちんと見極めたことを素直に評価したい。


というわけで、久々に良い試合をしたためか、結構甘めな評価が続いたのだけども、次のオランダはこうはいかない。引き分けに持ち込めればトーナメント進出が見えてくるが…。

vsFC東京

毎度おなじみ撤退勧告から。TBSはサッカー中継をやめて。お願いですから。副音声のゲストが具志堅用高有吉弘行なんて、どういう組み合わせだよ。それから、CMを入れるなって。ハーフタイムと試合の前後以外に。


で、本題。
あまりにチームが熟成していないので、大きく目についたところを、手当たり次第。
結論から言ってしまえば、不満はあるけど期待はあるって感じ。


攻撃は、今日に限って言えば、クロスバーを叩きすぎだったなぁ、ツキがないなぁ、という気はする。
ツキ以外の点を見ると、攻撃になった際、2〜3人が連動して進むとか、流れるような連携の形が徐々に増えてきたので、あとは連携の練度を上げることが急務。(画面から見えた感覚での)1m未満のパスのズレがすごく気になる。そのズレで戻る時間が、ゴール前でシュートを打つ時間をつぶすことになる。センタリングをあげる一瞬を逃す。その辺、悔しいけど鹿島はよく練れているし、G大阪は巧みだ。
エジミウソンは調子が良さそうだし、ポンテも全盛期にはないけど、昨年から比べればすこぶるマシ。攻撃に絡める回数が増えている。欲を言えば、たまに出る「怠慢さ」がどーにかならないかなぁ。今日も気を緩めたところでボールをかすめ取られたシーンがあった(その後周りに怒ってたけど…)。あれは守ってる方はたまらん。誰か「その場」で怒るべき。プロフェッショナル同士として。
宇賀神は、今日のプレーがどこでも出てくるなら十分に戦力として計算できるとは思う。1シーズン、自信の成長も加味しつつ通用するか。


一方の守備。
暢久のCBはやはり心許ないし、闘莉王が抜けたラインの制空権が弱体化したのは如何ともし難いが、気になる。
その解決方法の1つとして「安易にゴール前へ蹴らせないように前線からプレッシャーをかける」のが必要なのだけど、今までの癖なのか、意識がないのか、走り疲れたのか、後半の後半あたり、かなり押し込まれた時間ができてしまった。足下にあるときの前線〜中盤の守備がすこぶる良いので、こちらもアタックのコンビネーション同様、もっと連携できるように練度を上げるべきかと。


その他では、相手が10人になったのに、それまでと同じような回し方をしていたのがヒジョーに気になる。
いずれかのサイドに寄せられてから1発で逆に振られるのが一番辛いと思うんだが、ついぞ、そういうプレーは無かった。また、ボールを回しているときのサポートのポジションが甘いのが気になる。特にディフェンスラインでのボール回しの雑さは、前述したパスのズレと相まって、無駄な時間を使ってしまうことで、結局追いつかれてしまってGKにバックパス…という展開も多かった。こういうのを減らせなければ、限られた時間の中で、チャンスを作り、シュートを打ち、ゴールへ結びつけるという一連の流れを生む「回数」を増やすことができない。


当面は、勝ち点を拾いつつ、熟成度を高めていくことができるかを楽しみに眺めていきたい。
(去年はほんとズタボロで感想を書く意味すら見いだせなかった…という言い訳をしてみる)

あのプレーを処罰対象とするために必要なこと

繰り返すが、現状では規定がないので、

  1. キッカーがキック前に居るべき場所を指定する
  2. キッカーは「いつ」に特定されるべきかを厳密に定義する

の2つを追加しなければならない。

と、思うのだけど、読み方が違うのかなぁ。
審判長までが「違反」なんて言ってるの、まずくないかい?

槙野と佐藤寿人のトリックPK(BS)

うーん。「違反」って言ってる人は何を根拠に言ってるんだか。ねぇ、審判長。


The Laws of the Game
http://www.fifa.com/mm/document/affederation/federation/81/42/36/lawsofthegameen.pdf

の「LAW 14 – THE PENALTY KICK」(PDFファイルで42ページ目)を見ればわかるとおり、


・キッカーの位置
「The players other than the kicker」(キッカー以外のプレイヤー)は「inside the fi eld of play」(フィールド内)で、「outside the penalty area」(ペナルティエリア外)で、「behind the penalty mark」(PKマークより後ろ)で、「at least 9.15 m (10 yds) from the penalty mark」(ペナルティマークから10ヤード離れる)と規定されているけど、キッカーの位置に言及している箇所はない。
 →槙野がペナルティアーク付近から外へ出た後で、佐藤寿人が走り込んでいるので無問題


・キッカーが特定されなければならないタイミング
「must be properly identifi ed」(あらかじめ特定されていること)としか書かれていない。つまり「蹴る前ならいつでもよい」と解釈可能。
 →寿人はペナルティエリア外、あるいはペナルティアークのある一番長い辺の付近から、PKとしては比較的長めの距離を走り込んでいる。つまり、寿人が走り出した瞬間、その場面を見ている人にはキッカーが誰なのかがわかる。ゆえに、キッカーは蹴る前までにちゃんと特定できている。


ということになる。

つまり、どこにも処罰すべき項目がないのですよ。

反スポーツ行為などという規定を持ち出すなら、ほとんどのトリックプレーはNGになりかねない。

浦和vsG大阪(BS)

…とはいえ、用事があってまだ何も見ていません。
ひたすら乱闘の記事や情報を見ました。んで、思ったことです。

・ペットボトル、あるいは水風船が投げられるというのは荷物検査が甘い
・公共の場で人に向かってモノを投げていいシチュエーションは特殊な条件しかない(ex.戦争)
・サッカーの試合は戦闘の代替行為ではない。断じて
・破壊活動、暴力行為、憂さ晴らし、ストレス発散目的でゴール裏に行くな(居るな)
・子供(ex.中学以下)をゴール裏に連れて行くな
・なんぞのときに自分を守れず、自制できない人間はゴール裏に行くな(居るな)
・選手も、ベンチも、観客も、余計な挑発ととられる行動を行う、繰り返すのはよくない
・理由がどうあれ安易に暴力に訴えるのは悪い。「良くない」ではなく「悪い」
・暴力を力以外で制止するのは難しい。人数が増えればなおさら
・警察や警備会社は何のためにそこにいるのか
・マスコミは注目度を稼ぐ目的ではなく、平等な視点からの報道をすべき。「意見」は社説等でどうぞ
・理由はどうあれチームに迷惑をかけるヤツはサポーターではない

ただ、これらは冷静な状況での意見であって、実際にこういった「災難」に出くわした場合、どう行動するのか想像つきません。普段の判断から言えることは、向こうが悪かったとしても、モノを投げ返すことはありません。自分を含め、誰かに殴りかかられたら力で制止するとは思います。あいにく、おとなしく殴られて「無抵抗主義」なんて綺麗事のできる人間ではありませんので。

というわけではありませんが、現場の人々の行動を非難することはありません。現場には現場のシチュエーション、それぞれの受け止め方、行動方針、思い、感情があったでしょうから。あんなカオスな状態で冷静に行動できるくらいなら、そもそも暴動なんて起きていないと思いますし。

ただし、支持することもなく、ただひたすら、起こったことに残念だと感じています。なんでこうなんだろう。なんですぐにいがみ合うんだろう。気に入らなかったら無視すればいい。単なる騒動屋、暴れたいだけの愚劣な人間はサッカーシーンから去って欲しいと思います。こういった人間をどうにもできないチームも同罪。本当に情けない。