五輪代表最終戦。

文字通り、泣いても笑っても、このメンバーで戦う最後の公式戦。結果は 1-0 。逃したチャンスは多かったが、助かったピンチも多かった、割と大味な試合。ただし、集中力はそれまでの 2 戦とは比べものにならない高さだったと思う。

曽ヶ端準: GK
おかしい。精神的には落ち着いているんだろうが、なんだかボールが手についていない。確かに出るタイミングやキャッチング、はじく判断などは良かったんだが、それでも、後半にやったトラップするのかパスするのか分からないテキトープレーは見てて思わず声が出た。集中しろ。

阿部勇樹: DF
右ストッパーとしてプレー。相変わらず、正対した場合の守備はザルに近いが、併走の競り合いや、ロングボールへの競走ではしっかり身体を張って対応。まだまだ身体の使い方が悪くてファウルになりようもないところで FK を献上したりしていたが、今日のデキなら次第点。攻撃面では、長いパスを当てたり、深い位置で組み立てに参加したりと、持ち味を出せていたのではないだろうか。

茂庭照幸: DF
しっかり身体を張って身体能力の高いアタッカーをほぼ封鎖。小競り合いでも、相手に非がある判定が多く、フェアにがんばっていたのが分かる。守備陣では最も安定していたと思う。

田中マルクス闘莉王: DF
パスミス番長は相変わらず。出そうと思って出し先が封じられてから、迷ってドリブルして取りかえされたり、良いところを狙ってるのに通らなかったりという危ないプレーが目立ってしまう。ディフェンスでは集中力が戻って、足先でかろうじて逃れるような、厳しい場面での守備力が光った。特に、無理に繋ごうとしてかえって混乱していた後半、シンプルに大きく蹴り出していたのは良い。

駒野友一: MF
左アウトサイドで出場。前へなかなか行けない中で、守備に貢献。右に左にと広く動いてプレーし、前半立ち上がりの守備を支える。接触プレーで負傷し、途中で交代。調子が良さそうだっただけに惜しいことをした。重傷じゃないと良いが…。鎖骨でも折ったかもしれん。*1

菊池直哉: MF
今野とコンビを組んだ中で、一番良かったのではないかと思う人。考えても見れば「欧州に行くかも」と言われていた素材なわけで、こういう大舞台で使わなくてどうするよ。忘れてたけど。大久保のアシストとなった長いパスを始め、この人がいるなら小野は要らないじゃん、というくらいキレキレだった。もったいない(その 1 )。

今野泰幸: MF
「らしさ」が帰ってきた。球際の強さ、泥臭いプレー、削られ屋復活。この人が相手から削られていないってことは、ボール奪取も出来ていなければ、流れに絡んでもいないという証。この試合は本当に傷だらけといっても良かったので、間違いなく仕事をしていたと言って良い。これが第 1 戦から出てくれば…。とタラレバが思わず出てきてしまう。

石川直宏: MF
後半、松井と変わるまでペースが落ちることなくキレキレ。鋭い切り返し、スピードに乗ったドリブル、タイミングのよいワンツーパスで裏を取るプレー。得意なプレーを随所で披露し、決定的なチャンスに何度も絡んだ。守備でもスピードを生かして素早く戻ってくるなど意識も高く「なんで使わなかったの?」と思うくらい絶好調。に見えた。あー、もったいない(その 2 )。

小野伸二: MF
結局いまいちピリっとしないまま終戦。前の試合に比べればマシになったが、絶対的な組み立ての核とはなれなかった。ただ、随所に良いパス、長いパスが出せていたので、相手のディフェンスラインを押し下げるという意味では戦力になっていたと言えるかもしれない。とにかく、この人はこんなもんじゃない。とても残念。

大久保嘉人: FW
ようやく結果を出した。菊池からの長いパスに反応し、 GK の頭上をフワリと抜いたヘディングシュート。インド戦、コンディションに問題がなくて、調整が間に合うなら絶対連れて行った方がいい。ラフプレーにも冷静に対処できており、精神面でも充実していると言える。文句なく、このチームのエースとして君臨したと言って良い。

高松大樹: FW
この試合は惜しい!で終わってしまったが、良いところに顔を出すセンスは健在。問題は、小野のパスにことごとく反応できてなかったことと、鈴木ばりにつぶれてたところ。半分くらいポストプレーが成功していたら、もう少しチャンスが増えていたと思う。

森崎浩司: MF
駒野負傷で交代出場。素早い寄せにあって苦労したが、つなぎ役として、守備的な位置で貢献。もっと早いパスで組み立てができるようになると良いのだが。画面を見ていると、ゆっくり過ぎてハラハラする。出せなくて切り返して緩いスクエアのパスを近所の仲間にへろっと出したりするし。高速な流れではホントに呑気に見えるが、逆にそれを上手く生かせないものか。

松井大輔: MF
石川に代わって、そのまま右サイドでプレー。主に守備に手を取られたが、それでも前に出てきたときのキープ力は相手がリーチの長いアフリカ勢でも通用していた。あとは、大久保のレベルに並ぶだけ。キープからパスやドリブルを繰り出せるようになればな、という意味で。

田中達也: FW
時間が短いのでたいしたプレーは出来なかったが、相手陣内深くでキープするとか、縦に勝負するとか、時間帯で要求された仕事をきちっと遂行。もう少しスペースがあったらチャンスを作れたかもしれない。

というわけで 1 勝 2 敗にて、五輪終了。良かったのは主に攻撃陣。悪かったのは主に守備陣。そりゃそうだよな。セットプレーが多かったにせよ 3 戦で 6 得点 7 失点ですから。ちゃんとタレント連れて行ったのに上手く使えなかったんだなぁ、と思った最終戦だけど、コンディションまで分かってるのは監督なんだから、何か思うところや、調子の善し悪しがあったのかもしれない。ただ、結果が全てだから負ければいろいろ推測されたり批判されたりするわけで、これから各種メディアから聞かれることが多くて大変だろうなぁ>山本監督
山本監督のチームはこれで解散になるわけですが。なんでも「 A2 代表」というプランがあるらしく、そのチームの監督として就任が決まっているとか。選手層を厚くするという意味では、今後日本にとってかなりキーとなる試みだけに期待が高まる。お疲れ様でした。経験というものを積めた人はそれを生かしてドイツ行きの A 代表へ乗車してください。

*1:大正解。こんな良くない予想当たってもうれしくもなんともない。コケた格好ですぐにピンと来てしまった…