磐田 vs バルセロナ

ちくちく見ていく前に、鹿島のみなさんにはお詫び申し上げる。すいません。バルサ、強すぎです。レギュラーを欠いたチームが手におえるチームではありませんでした。
バルサ、マジ強いです。差がありすぎる。顔見世ツアーもいいところ。多分関係者にそういうと表向きは否定するだろうが、日本に来ても、宣伝活動以外に良いことはあんまり無いような気がするぞ…そのチームでは。というわけで、細かく考察。
アナウンサーはしきりに「 4-3-3 」を連呼しているわけなんだが、んなものは何の役にも立ってない。画面を見る限りでは、ラーションを 1 トップにおいて後ろから MF がガンガン突っ込んでいってるんだから「 4-5-1 」にしか見えない。しかも、登録の表示じゃ「 6-2-2 」になっとる。だから、システムなんざ関係ない、っつーの。ともかく大枠の戦術的な話は、この試合にはあんまり意味が無い。というのも、局面での少数×少数での戦術の練度の高さに驚いたからだ。練度というと訓練された動きというイメージもあるが、どちらかというと、もっと幼少時に刷り込まれ、染み込まされた、本能というか反射に近い連動性。例えば、ボールを持った仲間を見たら、足が動いたタイミングでパスが出てくることがアタリマエだと思っていれば、トリッキーなヒールパスでもすぐに反応できる。ディフェンス側は、それがわかっていても、相当緊急事態でなければヤマをかけて飛び込むことは出来ないから、素早い動きとパスワークは、相手をどんどん後手後手に陥れていける。そういう理解のレベルが高い。だから、パスが面白いように回る。簡単に言ってしまうと、小学生と強豪高校あたりがやっているような差がそこには見えた。
バルサの核はロナウジーニョ。CM ですばらしいドリブルのシーンがクローズアップされているので、ドリブラーのイメージがあったのだが、パサーとしても非常に有能なことがわかった。*1ルーパスを含むラストパスが出せるのだ。しかも、誰かに稼いでもらった時間を使うのはなく自分でタメを作れる。冷静に考えれば「キープできる=タメが作れる」だから、ラストパスを供給できてもおかしくないという気もするが意外とそうでもない。そういう場面を演出すること「も」できるのと、タメを想定したキープをするのとでは大きな違いとなる。ロナウジーニョは、そのボールコントロールの高さもさることながら、視野も広い。スピードと質は違うかもしれないが、ベッカムに勝るとも劣らない正確なサイドチェンジをやってのける。いわば、バルサは「ドリブルができるベッカム*2」を左サイドに持っているようなものだ。*3
閑話休題ロナウジーニョにパスが入ってからの、周りの期待−スペースを見つければ、フリーになれば、決定的なポジショニングができれば、パスが来るに違いない−は、常に高いレベルにあると思う。この理解(信頼)が、この試合の得点のほとんどをお膳立てしたといっても良い。左サイドで高い位置まで進出した、ならばボックスへ走りこもう。あるいは、それを警戒して固めた中から少しマイナスに外れた位置で待とう…。明確な共通意識はスピードを上げ、コミュニケーション無しにいい連携を生む。守ってる方はたまらない…。
磐田にとって非常にジレンマだったのが、レアルのように「誰を抑えても、誰かがキーになる」のとは対照的に、ロナウジーニョにボールが集まりやすいという、とても分かりやすい流れがあるというのに、そこを抑えられないことだ。わかっている、でも、止められない。これはキツイ。特にスピードに乗ってからだと、3 人アタックに行って抑えられるかどうか。そこまで人を割いてしまうと中が手薄になるし、やっていて本当に難しいだろうと思う。フルにレギュラーでなかったとはいえ、名波や服部、鈴木秀らは残っていたわけで、磐田の戦力は鹿島のものと比べればまだ経験があるだけ戦えるはずだったのだが…。
というわけで、日本代表がイングランドチェコといい勝負をしてきたのと対照的な結果なのだけど、個人技に優れた局地戦術がハイレベルな相手は、一部のトップクラスは別にして、まだ海外に追いついていないというのが明らかになった、バルサの 2 試合だったのではないだろうか*4。日本人も相当上手くなったと思うんだけど、それは止める、蹴る、くらいで、対人プレーの平均値はまだまだ低いところにあるんだと思う。*5先は長いなぁ。
そうそう。後付っぽくなるけど、ラーションのドカン!ヘッドとか、ジウリーの的確なポジショニングとか、ガブリの怒涛の攻め上がりとかも迫力あってよかったんですよ。でも、その核はやっぱりこの左サイドのロナウジーニョだったわけで。磐田も、名波の裏を取ったクロスとか、いくつか見せ場はありましたけどね。いくつかは。…後半はほとんど寝てたのは内緒だ。

*1:なにせ昨シーズンは、リガ・エスパニョーラを見てないので…無知でスイマセン

*2:もちろん容姿のことではない。FK が蹴れ、プレーメーカーができ、ドリブルが上手く、守備意識も高いという意味のたとえ

*3:あーあ。マンチェスターUは「こっちのロナウド」を買っておけばよかったのに…。クリスティアーノもいい選手だけど…スケール感が段違いだよ…

*4:ロナウジーニョは最高クラスの選手だから無理も無い、という見方もあるけど…やっぱ目標は高い方がいいかなぁ、と

*5:ふと考えてみると、日本代表が中国で厳しい戦いをしているのも、この辺がポイントかもしれない