vs イタリア

ぐちっぽいコメントが続いたので一晩寝かせたのだけど、間違いなく試合直後の感想だけにそのまま残すことにした。だから、16日の日付で掲載する。

うーん。「プロ対アマチュア」に見えた前半と、期待していた闘志を持って挑めた後半。もう後が無い試合なのだから、最初から後半のノリで行けなかったものかととても残念。
しかし、山本さんはいじりすぎたような気がする。サイドが弱いから 4 バックにしただけというのは、策を講じるにしても無策すぎる。サイドを補強するなら、サイドハーフを入れる布陣にしないと意味が無い。なぜなら、松井と小野を今野と阿部の前でプレーさせるということは、相当注意しないとサイドを空けてしまうからだ。案の定、早々にサイドをえぐられて芸術的なオーバーヘッドを突っ込まれる始末。その後も同じサイドを破られて、前半だけで 3 失点。確かにイタリアは上手かったが、それまでの選手たちを無視していたのでは?とさえ思える、頭の中だけのような机上論采配に見えてしまった。個人的には、モチベーションを上げるためにも、ケジメをつけた那須を先発させてチャンスを与え(どうせ背水の陣だから)、良いリズムを生んだ、松井を前へ、小野を低めに置く 3-5-2 のままでよかったのではないだろうかと思う。

曽ヶ端準: GK
正直あの 1 戦があって次がこの出来なら連れてくる必要なし。マリノスには嫌がられるかもしれないが、松田あたりを連れて行って DF を補強した方がよほどマシだったかと。全ての失点がほぼノーチャンスとはいえ、 2 点目は茂庭ともどもオフサイドの判定に頼ったような呼吸で出足が鈍ったのはいただけない。タラレバはありえないが、こういう凹みそうな試合こそ、川島(名古屋)のように後ろからガーガーと怒鳴れる人間が居た方が良いと思うのだが。

茂庭照幸: DF
2 失点目、相手が警戒すべきジラルディーノだというのに、オフサイドをアピールしながらの片手間ディフェンスで股間を抜かれる大失態。審判の笛に頼るのと、目の前で自分が今競っている場面。どちらの方がより失点の確率が低いか、わからなかったのだろうか。今までの傾向からいって、こういうことは無いと思っていただけに、この一番での「甘さ」には閉口。それ以外は、ある程度やられていたとはいえ、なんとか守れていたのだから、なおさら悔いが残る。

田中マルクス闘莉王: DF
常にフィードの精度を心配したが 2 失点目につながる縦へのパスミス。しかも、ちんたら戻ってカバーに遅れるという、それまでを考えると信じられないようなポカ。「 1 対 1 になったらやられる」という謙虚な姿勢であれば、あれは無かった。そして、日本はもう少しまともにイタリアに対峙できたと思う。その後の 3 点目もセンタリングをかぶってるし、なんとなくだが、雰囲気に飲まれ、焦っていたかもしれない。

徳永悠平: MF
負傷退場までは、ほぼ悪くないが、先制を許したシーンでは見事に裏を使われて、タックルが届かず。相手にイラついて(間に合わなくて、か?)雑なディフェンスでファウルをするのは怖いから止めて欲しいと思った。

駒野友一: MF
日本で見た凄みはなんだったんだろうか…。というくらい、消えてしまっていた。徳永負傷により急遽左から右へコンバートされるも、ほとんど機能せず。サイドバックではなく、サイドバックもできる小器用なサイドハーフの域を越えられていなかった。もっとも、メンタル的な部分で能力が発揮できなかったのかもしれないが。

今野泰幸: MF
この試合も、絶好調時から比べるべくも無い出来。つぶしに行けばかわされて後手に回ることが多く、パスは安全策に走り、ろくなフィードが出せず、那須が左に入ってくるまで、ほとんど守備(というかチェイシング)に手を割かれていた。不調なのかビビってるのかわからないが、画面から伝わる気迫というかオーラみたいなものは、ほとんど無かった。

阿部勇樹: MF
イタリアに行く前の名波を彷彿とさせる軽いディフェンス。危険察知能力は人並み以上にあるくせに、タックルやブロックが軽いので、簡単に置いていかれる。危ないと思ってそこへ急行しているのだから、自分が抜かれたらどうなるか想像つくだろうと思うのだが…。「パスが多少上手い、守備が期待できない MF 」に成り下がってしまっていた。 3 点目はこの人の読みに頼った勝手なポジショニングのせい。ボックス付近で不用意に縦を空ける神経が信じられない。動かなければ、ゴールとボールを結んだラインにしっかりポジションを取っていて、とてもいい位置に居たのに…。とにかく、ディフェンシブハーフをしていくなら、守備というものをもっと学んだ方が良いのでは?という場面が目立った気がする。日本の先制点となった FK は文句なく良かった。

小野伸二: MF
「なんとかしてやろう」がかえって足を引っ張ったように見えた。軽快なハブとしてのパスワークは失せ、危険とはほど遠い、コネコネとしたドリブルと、弱気な繋ぎのパス、タイミングと精度を逸した縦へのフィード。得意のダイレクトパスやあさっての方向へ出すパスもことごとくひっかかり、ボールを触った回数と比較すると物足りないくらい戦力になっていなかった。ボールを失いたくないというのは分かるのだけど、前半だったら、もっとリスクチャレンジして良かったのではないだろうか。闘う意思はあったが、チームを引っ張り上げるまでの影響力はついぞ見られず。とても残念。もう手遅れだが、せめて次節でその絶大な存在感をアピールして欲しい。

松井大輔: MF
細かいボールコントロールで奮闘するも、イタリアの狭いスペースへの追い込みで自由を失う。いざスピードに乗ったと思ったらファウル寸前のプレーで倒され、パスは思うように出せず、闘う意思はあったのだが、イタリアに上手く弱体化されてしまっていた。これを切り裂けると、とても心強いのだが…。田中達が投入されてレシーバーが増えた時間帯では、密集にてこずりながらも大久保らを利用してチャンスメークに挑めていた。最後になったが、独走態勢のビッグチャンスをフイにしたことは、サッカーをする以上、ずっと背負って行って欲しい。そうすれば、世界で通用する選手になれると思うから。

大久保嘉人: FW
どっか欧州のチームに買ってもらってくれ。つか、どこか買ってください。という売り込みに使えるくらい孤軍奮闘し、それが相手に通用していた。競りながらのドリブルでも体勢を維持してドリブルシュート。高さで適わないとなると、後方から谷に飛び込んで決定的なヘディングを放つ。そう、必要なのは、その力をもって呼び込んだチャンスで確実にゴールすること。決定力の向上。ただそれだけ。予選を含め、もっとも大きくなった選手だと言えるかもしれない。日本の POM だと思う。

高松大樹: FW
ロスタイムに、セットプレーから 2 点目となるヘディングを突き刺し、結果を出すも、やや悪質なファウルを流されたり、高さで負ける場面が多かったり、世界の壁を感じたであろう内容。がんばってもっとボールをおさめてくれていたら、大久保や後半投入の田中達が生きたんだがなぁ。審判に文句を言うのと同じだけきっちりチャンスを作れる FW になってくれるとうれしいかな。

那須大亮: DF
徳永の負傷により前半早々に交代出場。先の試合はなんだったんだ、というくらいのアグレッシブさで、完全に自分を取り戻す。茂庭や闘莉王の方が、よほど「パラグアイ戦の那須化」していた感じ。アウトサイドにポジションを置かれたことを利用して、ライン 3 のときよりもガンガン攻撃参加をしていた。やっぱりできるじゃないか。なんでこれが出なかったんだかなぁ。これを糧に最終戦はもっと良いところを見せて欲しい。

田中達也: FW
相変わらず、相手を混乱させるアグレッシブな姿勢全開。ファウルされても相手を怒鳴り返す気の強さは、すなわち常に闘う姿勢が出来ている証。怒鳴れば良いってもんじゃないが、そういう強気なところをアピールすることで、相手に気後れせずについていけると思うので、こういうタイプの選手は厳しい試合で重要だと思う。投入は正しいことを証明しきる結果が出なかったは非常に残念。ここで 1 点でも取って強烈なアピールをしていく必要がある。もう、流れを変えるだけではなくて、勝負を決定付けるプレーヤーにならないといけないと思う。

森崎浩司: MF
後半、パワープレーを行う要員として松井と交代出場。おそらく平山とどっちが…と迷ったと思うが、田中達を含めた FW が 3 枚の状況なら悪くない選択だったかもしれない。ただ、イタリアのプレッシングがキツイ上に、自分と逆のサイドでボールが動くことが多く、山本監督の狙いだったであろう得意のロングフィードを、ほとんど披露せずに試合終了。

イタリアは 70 年代のロッシや、90 年代のスキラッチを思い出すような、いってみれば「調子に乗りすぎとも思えるスーパープレー」(センタリング→ダイレクトでオーバーヘッド)から先制。そして、一瞬の相手のミスを逃さないしたたかさと、最後で足が伸びてくる固いディフェンスというお家芸全開モード。
一方の日本は、オープン攻撃を中心としたパスワークから数多くチャンスをつかむも、最後の最後で決定力を欠き、セットプレーから 2 発返せただけ。
途中で気がついたのだが、アジア杯の A 代表の方が心もとなかったのに勝ちあがれて、五輪代表はこれほどまでに苦労しているのか。個人的な見解だが、五輪代表は複数のポジションができる器用な選手が多いのだけど、軸となる選手に圧倒的なスペシャリストが少ない。特に中盤。専業でディフェンシブハーフを務めている今野だけ。小野はバランスがいいはずなんだが、高い位置に居ると守備がおろそかになるのは改善されていなかった。
というところで、翌日に続く。