日本代表 vs 北朝鮮(BS)

AFCユース選手権大会2006(U-18) 予選グループN 最終戦、チャイニーズ台北を 5-0 で下した両チームの試合。ニュースで先に結果を知ったのだが…伝えられたほどフィジカルやスキルで圧倒的に差があったわけではなかった。「個人能力の差が…」とか「日本は組織はいいけど個人の力が…」ということばかり言われていて、アフリカ勢との対戦のように、2人で囲んでも振り切られてしまうような惨憺たる試合を想像していたのだが…すごい選手つって2人くらいではないか。なんともまぁ脳内で大幅に補完された内容が報道されたことだ。前半のシュート数だけを比べても、日本の9に対して北朝鮮は2。確かに危ない場面はあったが、日本はストッパーの福元がしっかり締めており、危ないと感じるシーンはさほど無し。しかも北朝鮮はフィニッシュが雑で、さほどでもないという印象。
日本は、すごく足らないような報道を聞いていたからか、それほどひどいチームではない。組織ばかりクローズアップされていたが、単純な「組織力」(連携など)ではなく、個人個人の集団戦術に対する理解が深い、という方があっている。特に守備面においてそれは顕著で、ボールに近い選手、ピンチのエリアに近い選手の守備に対する動き方や、自発的にカバーリングに入るシーンなどを見ると、ずいぶんレベルが高くなったものだと感じた。オープン攻撃以外の前線でのコンビネーションのズレの方がかえって目についた。個々が前に勝負するシーンも物足りないが、ボールをロストしないことを第一目標にしていると考えれば、あまり不満はない。少なくともサイドでチャンスだった場合の突っかけ方は、バランスは良かったのではないかと思う。後ろの選手が前線へボールホルダーを追い越して上がっていくシーンも多く、決して北朝鮮に後れを取っているとは感じなかった。
この試合唯一の得点シーンはゴールキックから。1発でハーフナーの頭にあったボールがバックヘッドで前へ繋がれたのを、河原が触るかどうかという競り方をし、さらに前へ流れたボールへ、河原を追い越した安田が反応し、競りかけてきた選手を含めて3人のDFを引き連れたままで強シュート。ニアサイド、クロスバーの下に向かってたたき込まれたシュートはGKの手に触れる暇もなくネットを揺らした。1つのパスに対して、3枚が絡むという厚みのある動きから生まれた点。しかも、アウトサイドの選手である安田が長い距離を走ってセンターまで入り込んでくるという、攻撃的なランニングが生んだ、とても良い点だと思う。
吉田監督がインタビューで答えていたように、このままのレベルでは戦えないと思うので、どこまで磨き上げることができるか、というのが大きな課題。残念ながら、個人技、組織、体力、走力、攻撃、守備、連携。いずれも即世界で戦えるというレベルではないのと思うので。