vsカタール(BS)

今回のアジア杯は、蒸し暑い東南アジア、ベトナムで開催。まぁ、この時期、アジアは総じて蒸し暑いんだけどねぇ。オーストラリアでやったら、少しは良い頃なのだろうか。南半球だし。

と、このように、前回同様、精神的な戦いになると思うので、戦術的に細かい話ってのあんまりない。この試合を見てもわかるように、たとえて言うなら、「アジアで最も良く切れるハサミを持ってるのは日本」ということに変わりはない。相変わらず「使いどころでそのハサミを使えるか」という問題は、「ストライカーの育成」と並んで、日本サッカーに永遠にかせられた宿題なんだけども。例えば、遠藤が、せっかく切り込んだのに横パス出したり*1、無理矢理感の強い中村憲剛のミドルだったり*2
それと、どーも、アジア杯の雰囲気というのはよろしくない。少し荒れた映像と、蒸し暑さを感じる選手の様子、耳なじみはあっても未だに何を歌っているのかわからない拡声器からの応援歌。この辺が合わさると見ててもちっとも安心できない。などと思いながら見ていたからなのか、結局は先制しつつもドロー。「勝ち点2を失う」と言って良い内容。

得点シーンはずっと狙っていたアウトサイドからの形。早い中盤のパス交換から左に開いた今野へ。それまで左足で失敗していたセンタリングを右のアウトサイドに切り替えて中の高原へ。体勢が逆になって反転しながら左インサイドで合わせた。
失点シーンはFK。阿部が競った時に不当にはじき飛ばしたという判定だった。人によっては取らないかもしれない、という余地があるにしても、時間帯を考えると軽率なプレーだったと思う。別に体当たりをしなくても、川口に安全圏を確保してあげるだけで良かったのになぁ。とはいえ、試合後の高原の「FKを取られる前の過程で追えてないのが問題」という主旨のコメントにあるように、阿倍のせいだけではない。この「ぽっかり感」とでもいうべき息切れ現象は攻撃にも散見された。ボールを回してペースを変えるところで足も止めてしまって取られるとか、パスミスを繰り返すとか。「ペースを変える」と「ペースを落とす」と「ゆっくりやる」と「急がない」と「休む」が切り分けられてないような気がする。
 ・ペースを変える:例)ワントラップ+パスで回してる中であえてワンタッチでパス
 ・ペースを落とす:例)早いドリブルで進んだ後、歩くスピードにする
 ・ゆっくりやる:スピードを上げない(ボールではなく、プレーや移動スピード)
 ・急がない:スピード重視でとにかく前へ送ることはしない。早くしたいところでも着実に運ぶ
 ・休む:完全に休むのはハーフタイムで、それ以外は、足を止めても頭が休む暇はない…と思う
という具合になると思うんだがなぁ。そんな中でも、中村俊輔はさすがにスコットランドでサッカーの試合運びを学んだんだと思う。手詰まりをことごとく打開するような長めのパスを的確に使い、ショートパスの使いどころを心得ているような。久々に代表できちんと機能してるところを見た。この人、アジア杯が好きなのかな。高原の強さも良かった。山岸も悪い選手ではないが、ちょっと格の差が明らかになってしまった感じ。
人の名前をあげたのでその流れでDFを見ると、特に問題はないのだが*3、今野の余裕のなさが気になった。顔面蒼白というわけではないが、体調不良なのか?というくらい、いつもに比べて必死すぎ。サイドバックはやったことないかもしれないけど、オシム曰く「2バックだ」だとすれば、サイドハーフだしなぁ。どうしたんだろ。復帰後の大舞台となる中沢は「みんなが期待してる中沢」。怪我さえなければ、前回の苦闘をしのいできた経験が生きるはず。川口とともに。その川口は、磐田でいろいろあったから大変かもしれないが、経験値とプロ意識はゆるぎないもののはずなので、大丈夫だろう。FKはコース、威力ともにすごすぎた。ノーチャンス。

それにしても、ようやく、「交代枠を使って何かが起こせる監督」になってよかった。羽生は決めないと。チャンスがあるうちに。これは他の選手にも言えるけどね。

というわけで、すっきりしない滑り出しの初戦。カタールの計画通り(前半は粘って体力温存して後半以降でたたみかけ)にハマった感は否めない*4のがなんとも悔しいなぁ。せっかくその堅守をこじあけたのに。「日本人ってホントにマジメなんだなぁ」と、改めてカタール代表から言われた気がする。ここでピークでも困るし、トーナメント進めないと困るし、ということでのんびり構えてる暇はないんだが、勝ち点はあるのだから焦らずに進んでほしいなぁ。

*1:打たないからフェイントにかからない→抜けないし、コースができない。いや、わかるよ、あのタイミングでコースはほとんどゼロだった

*2:打つのは構わないけど怖くない

*3:加地の調子に波があるのは今の始まったことではないし…

*4:試合を通じてずっと支配はしてたけど、前に行くスピードは残っていたし…という意味で