vs パラグアイ

前半25分過ぎまで見てあとはビデオデッキに任せた日本×パラグアイを見る。トップ下に小野が入る以外は、おなじみのメンツ。格の差があるとはいえ、前哨戦であれだけ良い動きをしていただけに期待は高かったが、やはり、大舞台を踏んだ数というのは、こういう局面でものを言うんだなぁ、と改めて思った。しかしそれにしても、ピッチは良さそうなのにズルズル滑る人続出。日本もパラグアイも。芝生が深すぎじゃないのかな。それでは、各人の評価。

曽ヶ端準: GK
どうしても、川口と比べてしまうので評価が厳しくなってしまう。1 点目と 3 点目は那須のミス、 2 点目は徳永の無警戒なプッシングにから、壁に当たって変化した FK 。 4 点目は阿部の安易なスライディングタックルから献上したものなので、いずれもノーチャンス。にしても、なんとなく落ち着かないというか、自信なさげというか…。 6 秒ルールを適用されるなんて、スキがありすぎだ。がんばっては居るんだが、ここに来てなんとなく頼りない感じを受けてしまった。曽ヶ端自信が悪いわけではないのだろうが、4 失点もするというのは、ディフェンスラインを全くまとめ上げることが出来ていない証拠。

茂庭照幸: DF
組織で守れたとは言い難いが、この人個人においては、接近戦は一応通用していた。やはりフィジカルコンタクトに優れるストッパーが 2 枚もいると危ない場面や高いボールを入れられた場面で不安が減る。とはいえ、前半にパラグアイが見せた軽快なパスワークはついぞ止めることはできなかった。

田中マルクス闘莉王: DF
茂庭と同じく、この人個人は決して負けていなかった。自分の守備範囲の他に、那須や後半の阿部のカバーに入ったり、攻撃は自重していたようだが、守備面では貢献していた。厳しいマンマークと空中戦の強さで自分のところから割られることはなかったものの、カルドソを完全に捕まえるまでには行かなかった。

那須大亮: DF
かわいそうだが事実を記す。前半、日本のリズムを崩した原因。最初の失点後はまだ動いていたが、ヒメネスに裏を付け狙われて何度もピンチにさらされるうちに、徐々に闘う覇気のようなものが失せ、3 点目の原因となる競り合いで負けたシーン以降はもうボロボロ。やはり、こういう舞台では、何があっても闘う強い意志をくじいてはいけない。プレー云々より、それだけ。当然のように後半に交代。

徳永悠平: MF
前半はパラグアイの 2 点目となる FK を献上したり、単発の攻めしかできなかったりと、いつもの良いところがほとんど無かった。後半になって小野が中盤の底に座ってからずいぶんと前へ行く回数が増えた。個人としては強いのだけど、その強さをチームに波及させられる器にはないか…。

今野泰幸: MF
なんかここに来て、個人的には評価が下がりっぱなしです。あのアグレッシブさはどこへ?球際の強さ、当たりの激しさ、なんだか知らないけどゴール前へ突っ込んで得点していた行動半径の広さはどうしたんでしょ。普通の、目立たない、ディフェンスラインまでは一応カバーする、つなぎ役だけのディフェンシブハーフに成り下がってしまっている。前半攻撃できなかった原因の人。この人から前戦へパスがでなければ、小野がいようが大久保がいようが、全然関係攻撃にはつながらない。

阿部勇樹: MF
それなりに繋いでいるのだけど、目立たないプレーばかりでチーム力の向上にはさほど貢献しなかった前半。後半、ディフェンスラインに下がってからは、甘い見積もりのタックルで 1 点を献上するものの、長いフィードなどで前半よりは機能していたと思う。ただ、この人はもっと泥臭いことを厭わない姿勢が欲しい。なんとなくプレーが小綺麗で、闘莉王の対局に位置する人だと思う。

森崎浩司: MF
前半、自分がとばされるような大きな展開で自分の裏を付かれた回数が多かった。取りに行ってもなかなか取れず、得意のパスも効果的な攻撃のベースとはならなかった。後半茂庭が同サイドに回ってきてからは、縦のポジションチェンジをしながら、流動的に左サイドをケアし、いつも通りの縁の下ぶり。

小野伸二: MF
後ろからのパスの精度が悪いのと、パラグアイの厳しいつぶしで前半はほとんど機能せず。後半、ディフェンシブハーフの位置に下がってプレッシャーが減ると、とたんに攻撃の「ハブ」として大きく機能し、日本の軽快な攻撃の中核として影響力を示す。前半から、もっと高い位置で同じことができる強さが欲しい。欲張りすぎといったらそうかもしれないが、期待したい。PK を同じ試合で 2 回決めるという難しい仕事をやってのける強心臓はさすがだが、流れの中で得点もアシストもなかったのは不満。

大久保嘉人: FW
悪くなかった。むしろ、気を吐いていた。でも、中田やアジア杯の中村のように、自分が決定的な仕事をしてチームを引き上げるということはできなかった。後半、小野が下がり目に、松井が 2 列目に入ってから、細かなパスワークで展開する攻撃チームの核として、遅ればせながら持ち味を発揮し始める。ただ、得点できたシーンのような落ち着いたプレーが前半からできていたら、あと 2 点くらい取れたかもしれない。個人的には調子を維持しているように見えた。まだ期待できる。

高松大樹: FW
先制を許した直後の同点弾、2 点目となる 2 つの PK をゲットした他にも、果敢にボックスへ攻め込み、サイドへ流れて起点となる。だが、再三掴んだチャンスを結局 1 つも生かせずに、後半平山と交代。もう本番になると「惜しい」プレーでは評価されない。 1 点でも取ってくれれば楽になったのになぁ…。

松井大輔: MF
後半から那須に変わって登場。小野が中盤の底に入って後ろから縦に早くパスが出てくるようになり、最初から持ち味全開で戦えた人。願わくば、もっと自分でシュートを打つエリアへ切り込んでいっても良かった。後から出てくる田中達のように。調子は良さそうだし、ボールコントロールの技術も通用している。

平山相太: FW
高松に代わって後半から登場。決定的なヘディングを 1 つ放つも、 GK にセーブされるツキのなさが心配。成功するにはツキも大事だから。まさか、デビュー戦の 1 発で全部ツキを使ったとか言わないよな…。相変わらず最も安全な場所へ繋ぎたがるが、闘う姿勢が出てきたのは良い傾向。日本の流れが良くなってからの投入なので、苦しい時間帯にそれをひっくり返せる器かどうかは不明。

田中達也: FW
この人は本当に流れを引き寄せるという働きでは、日本屈指の力を発揮する。デビュー当時から変わらない、ともすれば滑稽なくらいの自信とストライカー的エゴイズムでぐいぐいと攻撃を引っ張り、大久保の初ゴール、日本の 3 点目を生む流れを引き寄せた。その能力があるからこそこの人を帯同させる価値がある。得点こそ無かったが期待された活躍をしたと思う。

というわけで、結果は 3-4 の敗戦。大きいのは、負けたけど得失点差で -1 で抑えたところ。それだけ。失うものなど最初から無いが、日本らしさを発揮するように立て直すには今後続く相手が悪い。
パラグアイは強い。南米らしい軽快なパスワークとしっかりした個人技。決してオーガナイズされているわけではないが、基本的な共通理解でポジションを変え、流動的に攻め込んでくる。特に、カウンターしながら攻め手を増やすのが上手く、日本は速攻をスピードダウンしたつもりでも、あまりスピードが落ちないままで後ろから 1 人、 2 人と増えていく。しっかりとした自信に満ちた速攻が手に入りきらない日本にとっては、本当に見習いたい特徴だと思った。