世界選抜 vs ヨーロッパ選抜

なんとなくザッピングしてて発見したところ、まだ前半 5 分くらいだったのでそのまま前半だけ見る。昨年末に、大西洋に面したアジア沿岸一帯を襲った、津波被害へのチャリティーマッチ。世界選抜はロナウジーニョ、ヨーロッパ選抜はシェフチェンコの名を冠するドリームチーム。当然、張り詰めた緊張感という世界とは無縁の、とてもカラフルなショー。軽いボールタッチ、一瞬で抜け出すスピード、柔らかなステップワーク、変幻のポジションチェンジ、トリッキーなパス、目を見張る個人技…。お互い怪我に注意しながらのプレーなので、ディフェンス面で通常よりプレッシャーが低くなる。そのため、ボールを持ったときのワクワク感といったら、それこそ、路地裏でストリートサッカー、あるいは空き地で一緒に草サッカーに興じなければ見ることが出来ないようなプレーが続く。みんな笑顔が絶えない。スタンドもピッチも。サッカーだけじゃないけど、スポーツってすごいなぁ、と改めて思う。カンプノウを埋めた観衆、中継を見ている聴衆が年齢を問わずに酔えるひと時。コンサートや演劇、サーカス的な興行とも異なる盛り上がりを持つ。普段やっていることの1つ「楽しく、楽しませる」という点にウェイトを置く決まりを加えるだけで、これほどまでにガラっと変わるのが面白い。
そんな中で通常と同じレベルの集中力で望まなければならないのが GK 。足まですくうような、あるいは、競った相手を吹き飛ばすような激しいセーブをする必要は、もちろん無い。が、緩いマークから簡単に厳しいコースを狙ってくるシュートや、普段の試合だったら 3 本も通れば御の字というような、素晴らしい弾道のラストパスで作られたチャンス− GK にとっての大ピンチ−を、数多く相手にしなければならない。そればかりか、 GK というポジションの使命が「失点を防ぐ」という点にあるため、こうった試合では孤独にピンチにさらされてしまう。逆に考えれば、スーパーセーブを披露するチャンスでもあるけど、それは相手があってのこと。 GK というのは辛いもので、中にはノーチャンスの失点も少なくない。幸い、世界選抜のジダは、ジダンの絶妙なロングパスを受けたデルピエロに素晴らしい得点を許したものの、近距離からのヘディングシュートや、鋭いミドルシュートをセーブして見せ場を作った。ちょっと可哀相だったのがヨーロッパ選抜の GK カシージャス。グッドセーブを連発するも、ロナウジーニョエトオ、カカのトライアングルを中心に、怒涛の攻めにさらされた。決して DF は手を抜いていない。むしろ、プレッシャーが低いとこのくらいの突破を簡単にするトップ選手のすごさ、怖さが改めて分かった。
フィールドプレーヤーは、ロナウジーニョ、カカ、デコ、ジダン。それぞれスタイルは違うけど、本当に楽しそうにボールを操る。細かい解説は不要。単純にすごい。プレーの精度が、この中にあっても 1 段上にいるように見える。クラブチームや代表の試合で時折みせるスーパープレーのベースを垣間見ることができた。久々に調子を上げてきた中田は、ロナウジーニョの得点のきっかけを作った以外は割と簡単にパスをはたき、上手く溶け込んでいた。さすがにこういうイベントに呼ばれる回数を重ねると慣れてるもんだなぁと思う。いろいろ言われるけど、サッカー界での顔は、まだ中田なのは間違いない。
というわけで、前半だけでこれだけ書けちゃうドリームマッチ。少しでも災害に遭った人たちの助けになると良いと思います。そうそう。実入りの方も 12 億以上だったというんだから、さすがです。