横浜FM vs 東京V(地上波)

早春恒例のチャンピオン戦、スーパーカップを見る。リーグ覇者と天皇杯勝者の一戦。当然のように東京Vの応援をする。理由は、単純に、東京Vが良いサッカーをしてるから。ヘレヘレの横浜FMが勝ってしまうようだと、今年のリーグ戦の盛り上がりがイマイチになりそうだった。
横浜は怪我人だらけの辛い布陣。いくらA3でバックアップがテストできているとはいえ、リーグ開幕を目の前にして、松田の離脱は痛いはず。安も久保もまだみたいだし。A3とあんまり変わらない陣容で望む。
東京Vは、びっくりする人が。1人は、清水から移籍の戸田。もう1人は、元ブラジル代表のワシントン。戸田は聞いていたけど、ワシントンは前日のFOOTBALL MUNDIALで初めて知ったので、ここに出してくるとは思わなんだ。この補強はとんでもなく良い。しかも、戸田はディフェンスラインにいる。贅沢だ。
疲れがあるのか、作戦なのかは不明だが、立ち上がりもっさりの横浜に対し、個人技キレキレでボールをまわす東京V。柔らかなボールタッチ、鋭いショートパスでの運び、ボールを受ける前のフェイク、恐れずに切れ込んでいくドリブル。天皇杯でいいところを見せたメンバーが良い。ラテン薫る東京Vのサッカーは、完全に復活したと言っていい。確固たる「らしい」というスタイルを持つ、数少ないチームの復活は、Jリーグをも魅力的にする。横浜は先にも触れた通りA3からさほど変わらず。ディフェンスラインでのボール回しから長めのボールを当て、ワイドに攻めるいつものポゼッションサッカーポゼッションサッカーができるチーム同士のため、簡単にボールロストせず、競り合いもレベルが高く、内容が濃い。横浜のカウンターが鋭くなり始める後半までは、どちらかというとアベレージで見た場合の技術が高い東京Vが効果的にボールをまわす。
サイドアタッカーの田中と相馬、エースキラーの中沢と新戦力のワシントンのマッチアップに期待したが、ちょっと残念なことに東京Vの一方的な展開と言っていいかもしれない。相馬のドリブルは横浜の右を安々と切り裂き、ワシントンは、中沢の強烈なディフェンスを物ともしない。偉そうなことをいうと、今年、J1各チームのDFは東京Vに感謝した方が良い。かなり久しぶりの、ワールドクラス((C)松本育夫)FWの参戦。わずか数試合分とはいえ、日本にいながらにして、そのすごさを体験できるのだから。この試合でも文句無しの2得点。長いリーチを生かして競り勝った1点目と、大柄な体格を上手く使い、その強さを存分に発揮した2点目。1試合で見てしまったのが勿体無いくらい、強烈な印象を与えた。
横浜に良いところが無かったかと言えば、ワシントンを「体感」できたこと、A3から続いて若手が奮闘したことと、大橋の目処がついたこと(前からよかったとは思うが、決定的な仕事をしたのは大きい)あたりが収穫かもしれない。
どうしても、東京Vを注目してしまうのと、横浜は既存戦力なだけに印象に差が出てしまったのはご容赦。結果は2−2ドローのPKで東京V勝利。天皇杯に続いての勝利は、若いチームにとって自信と誇りになるはず。これでリーグ戦が楽しみになった。