vs バーレーン

招集前に高原が、試合直前で小野が負傷で離脱という、ドイツ大会出場を決めれば、後々、かなり少年漫画的で、ドラマティックなお膳立て。こんなお膳立ては、冗談抜きで創作の中だけにしてもらいたい。
いろいろなところで予想されていた通り、立ち上がりは柳沢の 1 トップ。いままでなら「どーかなー」と思うところだが、イラン戦(A)での柳沢を見たときのボールの引き出し方の巧さが強烈に焼き付いていたので、中田、福西、小笠原、中村からどうボールを引き出すのかに注目(個人的に)。
では、いつも通り個々の感想。
川口能活:GK
前半の危ないミドルに触れたのは、バーレーンのGKが小笠原のミドルシュートを許したのと好対照。やはり「ここぞ」では頼りになる。いつものポカとか、気抜けがなく終始安定。フィードもバックパス対応も良く、今日のパフォーマンスなら言うことは無い。
田中誠:DF
他のDF同様、加地を追い越すくらいで、積極的な上がりは控えめ。脅威のほとんどは逆サイドだったので、あまり目立ったことはなかった。
宮本恒靖:DF
前半はなんだか危なっかしいポジショニングで少し冷や冷やした。中澤で仕留められなければ、君が行っても無理だろ。落ち着いて落下点をフォローして欲しい。後半に修正できたように。なぜかCKで積極的にボールが合っていたのは、何かの作戦だったんだろうか。その後目立たなくなったので、何だったのか不明。
中澤佑二:DF
完全に守備徹底。制空権を掌握し、足下も落ち着きと粘りでほとんど完封。イラン戦であった「つり出され」もなく、いつもの鬼神ディフェンス。
加地亮:MF
中田英からのパスレシーバーとしては良く機能していた。軽快に上がるようになったけど、クロスが悪い。良かったのは、一番最初に柳沢へ入れたグラウンダーくらい。ダイレクトであげるとズレるし、止めると前をふさがれて戻しちゃう。前節あたりの自信はどこへ?という感じ。守備面は合格。いつもの「あら?」という感じで突破を許すことはほとんどなかった。
三都主アレサンドロ:MF
うーん…。1試合で良い時間と悪い時間が交互に来るようになってしまったか…。ワンタッチ、ツータッチがいつもより多かったけど、心配していた「傲慢さ」を露呈し、つまらないシミュレーションで警告を頂戴したため、次節の北朝鮮戦は出場停止。少し頭冷やせ。
福西崇史:MF
この人も守備徹底。ガンガン上がるというより、流れの中で上がれるなら行く、というバランスに見えた。単純に、相方が中田英だったからだと思う。この試合は何人か判定に泣いた人がいるが、この人もそのうちの1人。次節は出場停止。
中田英寿:MF
スペース的に余裕があり、プレッシャーの低い深めの位置からゲームメイク。長短織り交ぜたパスでリズムを生み、狙って前線への飛び出しと、戻っての守備をひたすら繰り返す。1つ、決定的なパスミスをした以外は、ミスらしいミス(息が合わないシーンはあったが)は無く、期待値を十分に満たしたパフォーマンスだったと思う。後半になって前にポジションを移してから、後ろからボールが出てこなくなってイライラ。後ろからのリズムは自分が作っていたので、それは仕方ないかも。変な判定のために警告をもらってしまい、次節出場停止。
小笠原満男:MF
殊勲選手。稲本と交代で退くまで、とにかく動いてボールに触って、中田英を始め、後ろから出てくるボールを軽快にさばき、リズムを生む。柳沢とはさすがに元チームメイトだけあって、瞬間の息はぴったり。幾度か決定機を生むが、ミドルシュートの1点止まりは残念。早い段階でバーレーンの息の根を止めることはできた。
中村俊輔:MF
もう持ち味と考えるしかない、のらりくらりなプレー。まぁ、早く回す人が多い(中田英、小笠原、福西など)中では、アクセントになっていたのかもしれない。足下に止める同士の息なのか、三都主とはなかなかのコンビプレーで裏を幾度も取る。後半に見せた、ゆらりとしたリズムから瞬間的に抜けて強烈なシュートを放ったシーンだけが、相手に冷や汗をかかせたのかなぁ、と思う。もっとやれたんだろうけど、暑かったのかな?俊輔君。
柳沢敦:FW
期待以上。まぁ、点が取れればもっと良かったのだけど、ポストプレーはがっしり構えるだけではないということの見本。もちろん、ハイボールには身体を当てて競っていたが、丸く走ってパスを引き出し、相手を見ながら軽くおいていくようなプレーがさえ渡り、何度も起点となる。裏にも何度も抜け出すが、下手な判定でオフサイドを取られてパー。判定に泣いた人の1人。
中田浩二:MF
後半に中村と交代で出場。守備を安定させ、中田英を前に出すために出てきたと思う。のらくら中村が居なくなったことでどう変わるかと思ったが、バーレーンの足が止まったので、あんまり見せ場はなし。
稲本潤一:MF
後半に小笠原と交代で出場。おそらく、時間稼ぎでもあるけども。精力的に動き回りボールを触ろうとする。ダフってしまったが、カウンター気味の展開からシュートを放つなど、調子は悪くなさそう。
玉田圭司:FW
後半に柳沢と交代で出場。おそらく、バーレーンの足が止まったのと、再三、裏へ遅攻でも抜け出せていることで前半から走りっぱなしの柳沢と交代させたものと思われる。ボールタッチはなかったと思うので、評価無し。もう少し早い時間に中村と変えて2トップにしても良かったんじゃないのかな、と思ったりした。

点差こそ1点だけど、こちらも完勝の試合。バーレーンは、守備の立て直しができなかったようで、前節「弱点だ」と思ったボールサイドに振り回される問題は改善されず。皮肉なのは、そこにつられないで、デコイで走ったマーカーに引っ張られて中を開けたところで、小笠原のミドルシュートを食らってしまった。まだ経験が浅いということかもしれない。それから、あと2点くらいは取れた感じがする。この辺、ツメが甘いというか、そこで加点できたら楽なのは自分たちなのになぁ、と思いながらタイムアップを見届けた。
次節はすごく楽になったので決めちゃってください。よろしく。