浦和 vs バルセロナ( TVS )

さいたまシティカップ」と銘打たれたエキシビションマッチ。代表が欠けた浦和だが、例によってさほどのパワーダウンは無し。
バルサロナウジーニョエトオが見あたらない以外は、普段とどこが違うのか、リーガエスパニョーラを見ていないので、よく分からない。それでも、デコ、シャビ、ジュリ、ラーションなど、さらっと見ても名実ともに一流のメンツが来日している。ありがたいことだ。
前半12分ころから見始めたのだが、すでに失点していた。結局3点失う事になった浦和だが、全てアウトサイドからの形。綺麗にシンプルに回されて、正確なセンタリングと落ちつついたフィニッシュ。浦和にはすばらしいお手本になったことだろうと心底思う。何せ、恐らくは「浦和がやりたいこと・目指すこと」が眼前で次々に起こり、3失点を喫したのだから。
かくいう浦和も、相手がパワー全開でないことを加味しても決して悪くなく、永井はドリブルで突き進んでいたし、堀之内や平川は守備でこらえるしで、個人的にはそこそこ対応していた。瞬間的な出足やパス回しも、バルサがゆるめているとはいえ、良い形…の手前のお膳立てくらいまでは(遠いなぁ…)できている。問題の1つは精度。シュートもパスもフリーキックも。今日の試合に限って言えば、そこだけが対等であれば、もっとチャンスが増えた。後半にバルサのレギュラークラスが退き始めた時間帯以降で、細貝と横山が作ったチャンスも加えれば相当な得点の機会をフイにしたことになる。それから、決まり事不足のためのコンビネーション不良。「ボールを取って→あてて→つないだ」くらいまでは綺麗に回る。Jリーグなら、ここまででずいぶん前へ進めるだろう。しかしバルサはそうはいかない。最初に前に当てた後、落としまではつながるのだが、その次のパス先はすでに抑えられていて、結果的にスピードダウンさせられてしまったという機会がすごく多い。上手くいった形を考えると、レシーバーが複数動いているか、高い位置で取って長めにパスを入れられたか、という感じか。つまりは「バルサと言えど」という形を作れることができれば、Jなら完全に通用する。Jのチームでこの理想に一番近いのは、千葉かもしれない。(と思う)
それにしても、この試合のバルサの選手はあからさまな手抜きもなく、当然のように紳士的で、厳しいタックルこそあれ、結果を残したい若手でも、対戦相手をつぶすようなことは無し。そして、攻撃の瞬間には、リーガで見せているように、選手が流れるように入れ替わってハーモニーを奏でた。見てない人間になんで分かるのかと言えば、得点シーンだけはスポーツニュースその他でよくお目にかかっているからだ。とにかく、こういう試合での経験値は、浦和にとって必ず役に立るはず。っていうか、役立てろ。
後半になって、バルサも浦和も若手にチャンスを与える場としてこの試合を使い、選手はそれに応え、試合の中で闘い、良い内容を披露していた。素人目にも、双方にとって高いモチベーションが持てる、良い機会だったと見えた。
というわけで、真剣試合ではあっても、やはりエキシビションマッチ。超絶真剣なバルサを望むべくもない。そういう意味では、まだまだ足りないところが露呈されて良かったし、なにより、下手に勝って浮かれるくらいなら、コテンパンに負けてかえって良かった。(決して負け惜しみではなく。マジで)

試合外で特筆すべきは、実況が倉敷氏、解説が進藤氏というなかなかテレ埼では見ることができないコンビで放送されたことだ。さすがにリーガに造詣が深い倉敷氏と、落ち着いた詳しい解説でおなじみの進藤氏の手にかかれば、こちらもイライラしながら見る必要はない。もっと言うなら、仮にこの試合がダサかったとしても楽しめたはず。いや。この試合はつまらないものではなかった。