浦和vsG大阪(録画)

双方で合計8人の代表選手を数えるという、贅沢なカード。両チームとも昨シーズンは好成績を収め、今シーズンに向けて戦力を強化した。浦和は天皇杯で大活躍したマリッチが契約終了したくらいで、ワシントンと相馬、小野を獲得して選手層の厚みを更に強化。負傷した田中達也も戻ってくるので、総合力は昨年以上だと思える。G大阪は、大黒とアラウージョが移籍し、スーパーサブの松波が引退したことで得点力に不安が残るが、マグノアウベス*1、幡戸、加地、明神といった実績も経験もある選手を獲得。どちらが良いということではなく、どちらもタイトル獲得を目指して、充実した戦力強化に成功したと言って良いだろう。ふと思ったのだが、1993年のJリーグの1シーズン目が終了した直後の両チームのサポーターに「2006年のゼロックススーパーカップは、浦和×G大阪だよ」と言ったら、間違いなく病院に行くことを勧められるだろうと思う。なんとも感慨深い。

試合の感想の前に、両チームの監督の考え方に差があった(と思う)ことについて言及しておきたい。選手は間違いなくがんばろうとは思っている(た)と思う。ただ釈然としない点がある。この対戦、開幕戦のカードと同じなのだが、フルメンバーの浦和に対し、宮本、加地を控えたG大阪。代表戦の疲れとかいろいろ理由はあるのだろうけど、なんとなく手の内を隠したのかなぁ?という気がしてならない。また、負けたときの理由が付く状態にしておくというのもなんだかなぁ…。
ということで、試合の流れと感想を。

先制したのはG大阪フェルナンジーニョのCKが抜けてきたところを、坪井がオウンゴール。ところが今日の坪井はこれで目が覚めたのか、良さが抜群に出ていた。スピードを生かしたカバーリング、フェアな競り合いからのボール奪取と丁寧なつなぎ。これをシーズン通じてできるのなら安泰だと思う。
さて、先制点を取ったG大阪だったが、後半に幡戸と加地が入るまでは完全に浦和ペース。最前線にどっしり構えるワシントンをターゲットに、ポンテ、小野、長谷部、山田が絡んでボールの流れが良い。これらの選手はボール扱いも良いので、G大阪のプレッシングがかかり切らず、最終ラインでシジクレイがなんとか凌いでいる感じ。この「シジクレイ頼み」の状態が後で逆転ゴールにつながるのというのも、なんとも不思議な感じがする。浦和はこの「時間帯」をきっちり点へつなげる。9分に堀之内がFKを頭で押し込みあっさり同点とし、小野のスルーパスを拾ったワシントンがGKと1対1をきっちり沈めて逆転。このワシントンに通ったパスだが、本来ならシジクレイの足がしっかり届いていたため通らなかったものを、微妙にタイミングがズレたことで裏へこぼれてしまい、それをワシントンに持ち込まれた形。ハーフウェイラインを少し超えたところだったので、他のDFの意識が高ければシジクレイが届くかどうか別にして、カバーリングに入れる距離は十分にあった。
浦和は守備面でも、フェルナンジーニョや二川を中心にしたG大阪の鋭い攻撃を、対人の強さとカバーリングの意識の高さで凌ぐ。G大阪の攻撃は悪くないのだが、なにしろフリーにしてもらえず、浦和が早くターンオーバーするので、どうしても自分たちの流れにもってこれない。結局、終始浦和が主導権を握ったままで前半終了。
後半になっても前半からの流れはあまり変わらずに浦和がポンテのゴールで追加点をマークし、試合を決定づけたかに見えた。が、その後から徐々にG大阪が盛り返し、幡戸と加地が投入されたところから流れは完全に逆転。それまでなかなか前へ絡んでいけなかった遠藤が攻撃参加をし始め、幡戸が積極的に浦和DFの裏を取り、加地が右サイドを掌握する。昨シーズンから絶対的なストライカー2枚を失ったG大阪だが、キーになる選手が絡み始めればきちんと戦えるだけの力は健在。ボールの流れもスムースで、中も外も変幻に使ってボールが運べていた。良い流れで再三チャンスを作って浦和を攻め立てるも、このリズムになるのがちょっと遅かった。3-1で浦和が初戴冠。

ポイントは3点。1つめは、やるべき人が機能したか。2つめは、自分たちの中で共有されているボールの流れで試合をつかめたか。そして3つめは、ベンチワークが「流れを変える」だったのか「選手のコンディションを考えて」だったか。1つめと2つめは浦和が優れ、3つめは流れを変える起用をしたG大阪が、コンディション維持(あるいはテスト)をしにいった浦和の隙をついた感じ。開幕まであとわずかだが、さて、どうなりますことやら。

*1:これを書いたときは忘れてたよー!良い動きしてたのに。失礼しました…