大宮vs浦和(BS)

大宮がホームチームとなる埼玉ダービー。チケットは売り切れだというので「げげ、6万も売ったのか!?」と思ったら、2階席は空いておりました。ちゃんちゃん。

前回は、失点を1にこらえて終了間際に押し込みながらも、ロスタイムに追加点を食らって沈んだ大宮。今回は小野、達也、啓太を先発におかない浦和から勝ち点3を取れますかどうか…と思ったのだけど、大宮も土屋と大悟、藤本を欠くというお互い様な布陣。ただし、絶対的フリーキッカーである大悟が居ない分、大宮不利な状況。
立ち上がりからずーっと、浦和が大宮を押し込み、大宮が隙を突いてカウンターを繰り出すという流れ。この辺は想定内とはいえ、大宮の守備はほとんどミスが無いので、攻撃時に出るつまらないミスがいただけない。良い形で2〜3枚でのカウンター体制に入るのだが、浦和の3バックの堅牢さにややビビッてるようなボール回しで簡単にパスが流れてしまう。これは、後ろはツライんだよねぇ…。ワシントンに入るパスは如何ともし難いが、その次までつながせないのがこの試合の大宮の良いところ。トニーニョが直接張り付くのではなく、誰かが1度当たってから、こぼれをトニーニョが拾うという守備で対応するという工夫も良い。
一方の浦和が大宮を押し込めているのはワシントンのおかげ。とにかくボールが収まる。1発目はほとんど足元に収まってしまうのだから、守っているほうにしたら面倒だろうなぁ。で、そのワシントンを軸に永井と山田が生きてこなくてはいけないのだけど、どうにもピリッとしない。長谷部もそこそこのデキでパッとしない。その代わり、というわけではないだろうが、久々に先発となった酒井が良い。散らし方、前への突っ込みなど、啓太の縦横無尽といった動きはないが、要所を押さえつつ試合をコントロールする。先制点がこの酒井の抜け出しからだったのは、何かご褒美のような気がしてならない。闘莉王の長いパスに反応して縦に抜けた酒井がDFを引き連れながら放った左足のシュートをGK荒谷が軽率にこぼし(と、見えた。強烈ではあったが、そこに落としてはいかんだろ…)、いつの間にかゴール前へつめていたワシントンが押し込む。(この人は、こういう「ごっつぁん」もできるのが恐ろしい)
後半になっても、湿度のせいか、あまりペースの変化はなく、時間が経つにつれ浦和の足が止まり始め、大宮がボールを持つ時間が増える。そして、桜井、橋本を投入した時間以降は、大宮ペース。この辺までは前回の対戦の再現。トニーニョも投入したパワープレーで同点にするか、それとも、このまま事切れるか…。と見ていると、結局、ロスタイムに永井の追加点を食らって同じような結末となる。浦和は優勝争いに踏みとどまり、大宮はステップアップのチャンスを逃して中位停滞。
浦和は結局のところ決定力の差で勝った感じ。主導権を握る戦い方は、ずいぶんとこなれてきてはいるし、闘莉王のオーバーラップもイロモノさ加減が抜けて、浦和名物と言って良い熟成を見せている。ワシントンだけでなく、永井でもきちっと点が取れる決定力は、これからの優勝争いには不可欠な「厚さ」だ。が、相変わらず、パッタリと足が止まって簡単に流れを渡してしまうのは、どうにかならないんだろうか。走れる相馬、キープできてリズムが作れるポンテを投入するなど、手は打っているものの、なんとなく戦略通りというより結果オーライで進んでしまってる気がする。
大宮は、ツメの甘さから先制を許したというミスや、クロスバーなどに助けられるという幸運はあったものの、じりじりと盛り返すまでは良い内容だった。ただし、ここぞの一発を枠に飛ばせなかったり、パワープレー時にボールを回しすぎたり、昨年の天皇杯のしたたかな同点劇を考えるに、少々やり方が甘かったようにも見えた。

というわけで、ダービーにも関わらず、さほど荒れもせず、比較的大人しい試合内容で戦力差そのままの結果となった。この試合の注目は大宮の新鋭・橋本。以前も何度か見たが、この左足は良い。すごく変化する、精度とタイミングの良いクロスは大宮の武器になりえる。(くるくる動くテクニシャンというのは、三浦監督の好きなタイプなんだろうか)
浦和の方は相馬に期待したのだけど…決定機でミスをして追加点のチャンスを逃したのは痛い。こういうところで結果を出しておかないと、左サイドは引退するまで三都主のものになっちゃうと思うんだけど。