浦和vs福岡(BS)

天皇杯第5戦。埼玉スタジアムでものすごい強さを見せるリーグ覇者の浦和に、降格が決定した福岡が挑む。下馬評であったら、どこをどうとっても浦和が勝って当たり前。

と言いたいところだが、天皇杯を含め、トーナメント戦をなめてはいけない。サッカー選手の「切り替えの上手さ」を侮ってはいけない。そして、「当たり前」な戦いから受けるプレッシャーを軽く見てはいけない。そんなことを改めさせられる一戦だったと思う。

結果は延長を制した浦和の順当勝ちではあったが、とても興味深い内容だった。福岡は、予想通り「天皇杯くらい獲ってやる!」という高いモチベーション。ワシントンを徹底マークすることで浦和に攻撃リズムを作らせない。逆に鋭いカウンターで闘莉王がいないディフェンスラインを崩しにかかる。しかし、「決定力不足」という重篤な問題がそう簡単に解決することはなく、再三惜しい形を作りながらも、決めるべき時に決められない。結局、攻撃陣がディフェンスの奮闘に答えられないのであれば、疲労とともに劣勢に回るのは火を見るより明らかだった。
一方の浦和。達也、三都主闘莉王、堀之内を欠いた布陣で挑む。恐らく福岡サポーターからすると「なめられている」と映っただろうが、シンプルに激戦の後遺症だということで、ひとつ。しつこく守る福岡ディフェンス陣を崩しきれずにタイムアップで延長へ。もしかしたら、この辺も織り込み済みかもしれないが、延長になったのなら絶対負けないとは思っていた。というのも、だんだんと足が動かなくなる時間帯なら、経験値とスキルが物を言う。そういう点において、今のJリーグで、ワシントンとポンテ以上の経験値を持った選手がいるだろうか。つまり、ちょっとしたフェイクやフェイントといったギリギリの状況での駆け引きや、相手を崩すための策のレベルの高さは、恐らく、福岡のディフェンダーには厳しいものがあるだろうと思っていたから。これが、横浜FMだとちょっと話が違ってくる。松田や中澤は、海外クラブでのプレー経験こそないものの、ワシントンやポンテすらを上回るアタッカーにさらされてきている経験がある。浦和が勝ちきっていたというのは、こういう選手を補強したことが大きく効いているということになると思う。

というわけで、福岡は内容に関しては全く下を向く必要はないと思う。Jリーグでもそうだが、「得点力不足」という名の、非常に強力な呪いによって、呪い殺されてしまったようなものだ。この呪いは、欧州のトップクラブですら、「一流のストライカーを獲る」ということによってのみしか、逃れられないのだから。来期はぜひ、やすくても気だての良い、得点力のあるストライカーをひっさげて、昇格戦のシーズンを過ごして欲しい。リーグ序盤、勝ちきれないまでも、本当に内容のある良いサッカーをしていただけに、残念だった。

さて。次は磐田か。なんとなく、負けたくないなぁ。