vsシリア(地上波)

良かったことが比較的多い試合だったように思う。いくつか並べると、1)2次予選へ進んだ、2)勝った、3)無失点だった、4)前半の圧倒ぶり、5)今後2試合はあれこれテストできる、6)子供の応援がほほえましかった、などが思いつく。
ただ、前後半での出来の違いにはビックリというより「また歴史が繰り返されているよ」と思った。中東のチームは、統計こそ取ってないけど、しつこい。マジメであきらめない。スピードとスタミナ、テクニック、そしてなにより闘志を絶やさない。仮に5失点していても。というイメージがある。
そういうのが、日本はわかってない気がする。もちろん、選手に言っても仕方ないんだが、少なくともスタッフはわかってるだろうよ。だからこそ、「絶対的高さ」がある平山を、反町さんは最後まで残したんだろうし。
もう少しつっこんでいくと。
前半は「反町サッカー」の熟成が進んでいる気がした。シリアの軽くはないプレスの中で、テンポ良く前線までつないでいく小気味よさと、逆サイドを取る大胆さが上手くミックスされていた感じがした。だが、それにフタ((c)湯浅)をしていたのが、平山。この人、どうしてこうなんだろ。試合中、何度も「裏を取れ」というパスが出ていたのに、とうとう、自分から走り込んで受けるプレーはなかった。ほぼ後ろ向きでパスを受けて戻す。もしくは、テキトーな体制でアウトサイドで流すパスをミスる。珍しく前を向いて受けたかと思えば、すぐに後ろへ戻すかトラップミス。かといって、その「高さ」が生かせてもいない。前半、相手DFに完全に競り勝った場面などは、ワシントンでなくても、高松あたりなら簡単に枠へ飛ばせているはずの決定的な形だ。次節以降の起用方法で反町さんの意向がわかるような気がするが、このまま平山を使い続けるなら、「反町サッカー」は完成しない。彼の考える「人とボールが動くサッカー」に逆行してるからだ。
「平山が使えない」ことが、後半になって、苦しい状況を加速させてしまったのは、当然の結果だろうと思う。何せ、前線で収まってほしいパスが収まらないばかりか、そもそも顔を出せてない。画面では確認できなかったが、何度か受けるポジションを取っていたのかもしれない。しかし、平山がボールを受けてないということは、パスが出ていないからで、信頼されていないと見て間違いない気がする。おそらく、本人は気がついてないだろうけど…。
その後半のシリアだけど、冒頭で少し触れたとおり、タフな運動量と高い技術を持って、巧みなパスワークで日本ゴールへ迫る。日本の軽いディフェンスや当たり、安易なパスミスなどの要因はあるにしても、特にギャップを狙ったパス交換が良い。パサーの技術や視野だけでなく、レシーバーのポジショニングと動きだしの質が高いことが、その実行精度を上げているベースだと思う。もしかすると、速攻でなくても細かくポジションを変えて、安定してボールを動かすようになったら、ボールを持っている間はかなり危険なチームになれそうな気もする。もちろん、守備力については考えていないので、強豪になれる保証はないけれども。
さて、平山ばっかり文句言ったので、ちょっとフォローしておくと、あれだけ広いトラックを挟んだスタンドからの子供の声援が聞こえるのに(まぁ…マイクの位置などはあるのだろうけど…)、ピッチの中から声が聞こえてこないのはいただけないだろ。サッカーの試合中なんて、怒号が飛び交うような「指示の出し合い」をしなかったら、チーム力が半減してもおかしくない。もっと会話しようよ、会話。後半、盛り返し損ねたのは、行き違いのパスミスが多かったこともあると思う。パスって、つながらないとガックリくるもんです。
という感じで、まぁ、相変わらず文句は多いのだけど、反町さんのベースは見えてきたので、今度はそれを高い次元で安定させることと、高い意識と闘争心を持ち続けられるマインドセットを工夫してもらいたいなぁ、といったあたりを期待しております。なんてこというと、偉そうだけど、望みがなかったら文句も言わないよん。