浦和vsセパハン(地上波、BS)

先に嫌なことを書こう。どう考えても、テレ朝には「リアルタイム」「実況」はムリだ。そういうスキルのアナウンサーがいない。サッカー中継から撤退することを改めて願う。特にAFCの権利を全て返還してくれ。よりによって「最凶の2トップ」を充ててくるとは。ホントに胸くそ悪い。NHKの深夜で口直しをしたが、なんとも安心して見れることよ。叫ぶばかりが臨場感ではない。細かい言葉をつなぎ、選手の名を並べるだけで、状況は浮かび上がる。悲鳴や歓声などはスタジアムのを拾って送ってくれ。しかも浦和の試合なんだから。

で、本題。実際には細かいコトはアレコレ言いたいある。相手のリズムになりかけたときに、自分たちで流れを変えられないなぁ、とか、押し込まれたときにキープできないなぁ、とか。例によって「疲労」のヒトコトで片付けてもいいのだけど、「体力の限界になったとき、気迫がゆるんだとき、集中力が切れかけたとき」に出来るプレーがその選手本来の基礎力だと思っている。ゆえに、ほとんどの選手は思考の上でのプレーのレベルが高いことで戦えているのであって、ギリギリのところでは世界と「互角に」戦えるレベルにはないように思う。場数を踏んだことでの経験値とか、試合運びの向上とか、個と組織の融合とか、といった要素でしのげたのだと思う。これはようやく15年を超える歴史を重ねることができたプロ化以降の取り組みの成果、賜だと思う。もちろん浦和だけのことではなく、日本サッカー会の話として。この「アジア制覇!優勝!」をうけて、他チームのサポーターで拗ねている人もいるようだ。「俺たちのチームだってアジアを勝ってる!」と。AFCCLという大会で「初」だということであって、最初か2番目かなんてどーでもいい。マスコミもその辺はわきまえていてか、少なくともスポーツニュースで「『アジア制覇』は初」というようなことは聞かなかった。つまり単純な話で、「Jのお荷物」「最弱」「武南より弱い」「代表選手、元代表を多数抱えておきながらの2部落ち」「J1復帰もJ2優勝できず」など、知らない人に言えば「何の冗談か」と思える過去を持ったチームだからこそ、ネタが満載なわけで。それに、弱かった頃から「いつも満杯のスタジアム」としてきたサポーターがいた(いる)からこそ、更に盛り上がるわけで。真っ赤なスタンドに浮かび上がった巨大な白星。あれで奮い立たない選手がいたら、今日付で辞めた方が良い。向いてない。単なる傍観者だったとしても、あれに何も関心が沸かなかったら、とても可哀想だと思う。そのくらいの強烈なメッセージだった。
閑話休題
スタッフ、選手ともによく踏ん張ったと思う。06年W杯の後、どこかで「今年の海外マーケットで日本人選手にほとんど声がかからなかったのは、W杯の負け方が関係しているかも。すなわち『ギリギリの勝負で弱い』という印象ができてしまったかもしれない」というようなことを読んだ記憶がある。だからこそ、準決勝をPKでしのぎ、決勝戦のアウェーをドローで折り返し、ホームで押し込まれながらも2得点で試合を決めたことはホントにうれしい。しかも全試合無敗というのはすばらしい。更に、決勝で得点したのが2点とも日本人選手というのも時間の流れを感じる。今までは日本人の組み立ての上で、あるいは卓越した個人技によって、スーパーパワーの外国人選手が「ここぞ」を決めてくれるというのが多かった。実際、ポンテがゴールした決勝第1戦はまさにこのパターンだった。しかし第2戦では、1点目はポンテのスルーパス崩れ、2点目はワシントンのポストという外国人のお膳立ての上で、永井が切れ込み、阿部が詰めての文句ない2点。守備面では、ポジションに関係なく意識を高くプレーできていたのが大きい。今の潮流ではあるが、「やるべきことをやる」というのは意外と難しい。ましてや11人が90分間のほとんどの時間、ほぼ同じ気持ちでいるというのは、ある意味奇蹟といってもいい。それをファンやサポーターは、かなり高い確率で目撃してしまっているため、ごく普通になってしまっているというだけで。*1危ないシーンもあったし、良くない意味での「アジアクオリティ」だったからこそ、しのげた場面もある。でもそれはお互い様。決めたもの勝ちだ。
本当に良かった。お疲れ様でありがとう。世界と互角にやれるとは限らないが、少なくともホームの大声援がある。できれば、ミランに日本でもアウェー気分を味あわせたいところだが…その前にまたセパハンが立ちふさがるかもしれないんだよなぁ。なんだか変な気分だ。トーナメント表を見てちと萎えた。

*1:これは浦和だけの話ではない。サッカーという競技において、のこと