vs 中国

優勝。スコアも 3-1 という決定的なもの。不公平なジャッジが吹き荒れる中で、疑惑のゴールでリードでしたのは皮肉なことだ*1。日程に比べれば長く感じた大会ではあったが、これでひとまず閉幕。Jリーグは始まるし、各国リーグも開幕する。代表としてはドイツ大会予選に向けて、またそれぞれが自らを磨いていくことになる。

川口能活:GK
失点シーンは、途中でセービングを止めていることから想定すると、ブラインドからダイレクトで打たれたので反応が遅れたのだろうと思う。あれは難しいだろうなぁ。それ以外の危ないシーンは、相変わらずのプレーでことごとくセーブ。飛び出し、クロス対応、安定感抜群。

加地亮:MF、DF
最も多くチャンスを与えられた選手の 1 人であり、それを最も生かせなかった選手。当てて縦に抜けられるようなシーンでも前戦へ飛び出すことをせず、後ろへ下がってしまう。あそこまで行くと慎重というより、臆病といった方がいい。クロスを上げたり、縦の突破をさせるとできるのだから(現に、見事な縦突破は 2 度ほどみせ、いずれも通用した)、どんどんそういうプレーをすべきだったのではないだろうか。これだけ動けないのであれば、三浦や西と代えても良かったのではないだろうか。守備面でも失点シーンで軽い守備を露呈したことだし。確かに難しいエリアでの競り合いだったが、簡単へ中に行かれてしまうというのはどうなんだろうか…。

田中誠:DF
立ち上がりの時間帯では、中国寄りジャッジでファウルを献上してしまい、どうなることかと思ったが、その後は落ち着いて対処。加地の軽いディフェンスの裏で苦労したと思うが、安定して守備に貢献。攻撃面でも長いフィード、短いくさび両方で確かなパスワーク。

宮本恒靖:DF
危ないシーンを上手くカバーし、今大会通じた安定感でスイーパーとして機能。前への意識も高く、そこそこのデキ。失点シーンは、マーカーを捨てるタイミングでもなく、相手がダイレクトで打ったのでノーチャンス。優勝した瞬間の嬉しそうな顔が印象的。大変な苦労をしただろうが、非常にわかりやすいアウェー待遇と、その中でも自分たちが仕切って闘った大会という自負とともに、かなり大きな自信を勝ち得たのは間違いない。

中澤佑二:DF
日本代表だけではなく、大会 MVP と言っても過言ではないだろう。この試合でも攻守にわたって大きく貢献。この試合に限っては、持ち味であるフィジカルコンタクトの強さが相手寄りのジャッジで消されることが多く苦戦した。セットプレーでは主に守備において中国の高さに対抗していた。日本は世界でも通用するに違いない、本格ストッパーを手に入れた。

三都主アレサンドロ:MF、DF
守備力の無さと攻撃した裏を再三つかれて穴となるものの、その代わりに過去の試合から比較するとかなり効果的な攻撃を繰り出していた。こういうことは当然のようにできると思うので、もっと欲を出せば、攻撃の回数と成功率はもっと上がるはず。そして、もっと三都主を中心とした攻撃になるはず。そういう意味では物足りなかった。

福西崇史:MF
先制点をマークしたのは大きい。ここぞの勝負強さを発揮した。この人もフィジカルコンタクトの強さがあることで、中国寄りのジャッジに苦しんだが、頭の切り替えは早く、ファウル連発というほどでもなかったのは良かった。長短のパスで日本のリズムを作るも、いくつかもったいないミスパスもあった。可能であれば、そういうチャンス時、平時両方のパスの精度を上げたい。

中村俊輔:MF
ラインの裏へも飛び出して、チャンスメーカーとして貢献。前半は審判のジャッジに不満タラタラでセットプレー以外は役立たずも、後半、判定の不利と倒されることでチャンスになることを割り切ったのか、物足りないものの、流れに貢献し始める。大会 MVP として表彰されたが AFC はもっとサッカーを見る目を養うように。確かにほとんどの得点に絡んだのは素晴らしいとは思うが、それを支えた人にも光を当ててほしい。予選は運動量も併せてよかったが、疲れが出てきたのかだんだんと落ちてきて、この試合での運動量は悪いときに並ぶほどになってしまった。ただし、その中でも自分でできることを模索するようになったあたり、成長の跡と言っていいかも。

中田浩二:MF
「疑惑の追加点」を叩き込み、日本に追い風をもたらす。個人的には、それまでのジャッジが明らかに中国寄りであったのだから、まぁ、そのレベルの審判のジャッジということでアリなんじゃないんだろうか。サッカーにはこんなこともある。閑話休題。持ち味の広い展開を発揮するほか、遠藤や福西のように最前列を跳び越して攻め込んでみせたり、それまでベンチだったとは思えない順応振りでチームに貢献。 W 杯 4 試合の経験は伊達じゃないということか。欲を言えばミドルシュートまで持っていく余裕が 1 度も無かったのが惜しい。

玉田圭司:FW
鈴木とともに最前線で身体を張るも、中国よりのジャッジでその苦労が報われなかった。日本としては比較的良い形でボールを入れていたのだが、そのおかげでリズムが生み出せず、非常に苦しい展開を強いられた。中田浩の「疑惑のゴール」だけでのリードでは…と思っていたところで、ロスタイムに突き放す追加点をマーク。日本の勝利を決定的なものに。今大会もっとも経験値をためる機会、試合の恩恵を受けた選手。

鈴木隆行:FW
先制点の場面でアシストをマーク。三都主からのセンタリングで再度ビッグチャンスをつかみかけるが、得点にならず。この辺の「チャンスに決める」という癖が付けば、日本にとってもかなり重要な FW になると思うのだが…。相変わらずのあたりの強さで最前線で起点となろうと身体を張り、ラインの裏を取る動きを繰り返すも、玉田同様、中国よりの怪しいジャッジのためにほとんど報われなかった。全体的にはいつもより良かったと思う。

なぜかこの日に限って北京の気候が暑くなったようで、期待した日本らしい軽快な攻撃はついに見られなかった。それでも勝てる、負ける気がしないという自信によって中国を完全なアウェーで退けた。各マスコミから聞こえてくるコメントを見聞きする限りでは、ジーコも監督として成長したところを感じたが、ついぞ采配については変わったところを感じられなかった。この試合も 11 人で戦い抜き、選手交代というベンチ唯一の権利を全く行使しなかった。これが良いか悪いかは結果論でしかないが、長い日程の大会を戦い抜くにあたって、そういうスキル(というか戦略)も必要になってくるのではないだろうか。確かに、この大会のようなコンディションの悪いものはそうそう無いとは思うが、選手はクラブからの借り物であり、代表だからといって代表のために、いたずらに消耗することを許されるものではない。クラブに戻すことも考え、コンディションを最悪に落とし込まないようにする余裕も必要だと思う。おおよその選手は各クラブで重要な役割を担っている人ばかりだから。
何はともあれ、優勝してよかったと思う。選手たち自身のために。お疲れ様でした。そして、おめでとうございます。

*1:つまり審判のレベルが高くは無いということ。低いとは言わないが