vsオマーン

一次予選だけではなく、今最も難敵の1国であるオマーンとの重要な試合。相手もさることながら、気候や選手のコンディションが気になった。しかし、そんな不安は試合開始後 15 分したら無くなった。確実に A 代表は試合に慣れてきている。チーム力が上がったとは言わない。相変わらずぶちぶちと切れたサッカーをしている。流れもほとんどの時間でよくない。ただ、しのいで一刺し、みたいなやり方を身に付けてきているように見える。よくよく考えたら、カウンターの精度は段違いだが、イタリアのカウンターサッカーみたいな試合運びになってるような。
では、個々の評価を。

川口能活:GK
足場が悪かったのか、いつもの守備範囲からすると恐ろしいくらい狭いプレーイングエリア。ハイクロスに飛び込むタイミングもあまり良くなく、あわや失点のシーンも。とはいえ、キャッチングの確実さはいつもどおり。どちらかと言えば、よくない出来。少なくとも鬼神の働きはなかった。

加地亮:MF、DF
ようやく戦力として計算できかけてきた感じがする。特に守備においては別人…とまではいかないものの、カバーリング、競り合いともに、ギリギリ次第点といえるかもしれない。主に田中誠とペアで右サイドの守備を担当。一方の攻撃は、さほど目立った貢献は無し。地味にそれなりに。

田中誠:DF
どことなく身体が重そうな印象があったが、この人は、なんといっても後半のファインプレーが今日の一番。川口が出た後でゴールマウスに戻り、シュートが正面だったとはいえ、大ピンチに身体を呈して失点を逃れた。かなり相手とやりあってカリカリしてた時間帯もあったが、主審につっかかっていくのだけ止めて欲しい。いなくなられると困るから。それにしても、主審、目ん玉ひん剥いて、口角泡飛ばしてエキサイトしすぎ。落ち着けよ、と何度思ったか(決してヘタではなく、むしろ上手いと思うのだが…。アウェーにしたら公平だったし)

宮本恒靖:DF
ボールポゼッショナーの時間なのに、その流れに乗れない不器用さを露呈。というのも、オマーンの早いプレッシャーの中でのボール回しが、ヒジョーに危なっかしい。守備ではよくカバーリングをしていたけど、こういう展開になると、むしろボールを持たないほうがいいくらいに見える。悪くないけど、良くもない。良い所はあまりなかった。

中澤佑二:DF
相変わらずの制空能力で、日本ゴール前での競り合いは負け無し。その一方でセットプレー時はかなりガッチリとマークに付かれてノーチャンス。攻守ともに普段レベル。スーパーではなかったが、信頼は高い。

三都主アレサンドロ:MF、DF
やっぱり、裏でパスを受ける形が一番良い。にも関わらず足元で持ちたがるのはなぜなんだろう?得意かもしれないが、通用しないものは使わないが吉だと思うのだが…。守備は相変わらずザル+危なっかしいファウルの連発で「いるだけ」に近い。ギドが監督のうちに、ぜひ守備のやり方を教えてもらってくれ…。

福西崇史:MF
前回同様、攻め上がりはあまり無し、という感じではないが、攻撃が実ってないのと、低い位置から縦パスを入れたり、中継をしたりという、パスプレーの方が目立った気がする。この人もファウルが多いのだけど、今回はマシだったかも。中沢同様に、スーパーではなかったが、ハイレベルで安定している。

小野伸二:MF
インド戦に続き、福西と底を作る。守備意識が高く、前半の早い時間で警告をもらうほど。好調を持ってきていたようで、当たりに強く、コントロールよくパスを回していた。が、まだたまに消えてしまう時間帯があるのをどうにかしたい。最前線を飛び越える回数をもっと増やしたかったが、高原・鈴木の位置を低くされてしまっていて、機会はほとんど無し。

中村俊輔:MF
イタリアでの経験が確実に生きている。自分が求められているものを理解している感じ。例えば、手詰まりになった段階でキープして、ファウルを上手くもらうシーンが増えている。倒れている回数は少なくないはずだが、本人は割とケロッとしているように見えた。決勝点のアシストは狙っていた(と思われる)外に流れてからのチャンス。まるで「センタリングからのシュート練習」をしているような、お手本と言って良い形。あとは、センターをこじ開けることができると、攻撃面は申し分ないのだけど…。守備面は、意識は高くなっているが実効レベルは低く、戻りながらの競り合いでは、ほとんど通用していなかった。

鈴木隆行:FW
どこまでいっても鈴木。それ以上でもそれ以下でもない感じ。この大一番に得点するのも、不器用に反転しそこねてこけるのも、身体を張っている以上に突き飛ばされて地を這うのも、ポストプレーから気弱につなぐのも、いつも通り。不満もあるが、ある意味、安定株といっても良いのではないだろうか。運も実力のうち。

高原直泰:FW
クラブで 2 得点した勢いと好調さをそのままに、前回の「なんとかしないと症候群」は治癒。 1 本目の強烈な左シュートを見る限りでは、単にツキが無かっただけで、決して調子は悪くないことがうかがえる。前半〜後半始めくらいまでは、オマーンのしつような攻めのために低い位置を取らざるを得ず、ボールを受けてもゴールが遠いというパターンでやや埋もれかけた。しかしながら、シンプルタッチと積極的な仕掛けで攻撃を繰り返し、ビッグチャンスを数度掴む。得点には至っていないが、この積極性が日本の攻撃意識をもたせたと言えるかもしれない。

玉田圭司:FW
後半もロスタイムに出場のため評価無し。

ハラハラさせられっぱなしの一次予選だったが、何はともあれ無敗で二次予選進出とあいなりまして。内容が駄目駄目でも結果が出るのがジーコジャパン(なのか?)。やり方は好きではないけど結果出している人を攻められるはずもなく。