磐田 vs 浦和(CS)

4月28日に行われた第8節、見逃した分を追っかけて見る。両チームとも優勝候補にあげられながら、完全に開幕ダッシュに失敗して下位に低迷中。磐田は新戦力のフィットが遅れた上にけが人続出し、浦和はエメルソンの合流遅れに始まって、アルパイの退場やけが人が追い打ちをかけて、分解はしないものの、まるで整備不良のエンジンとでも言えようか。
立ち上がりのゲームを支配するのは浦和。エメルソン、田中達、永井の 3 人だけで簡単にゴール前まで行ってしまう侵攻速度は相変わらず。空いているところへどんどんとボールを預けてシンプルに攻めるが、フィニッシュが決まらない。一方の磐田は内容が悪すぎる。長短織り交ぜたパスワークを中心に丁寧に運んでいくスタイルは消え、とにかく裏へ、縦へ早く放り込む、意図が薄い、狙いの感じられない稚拙な攻撃が目立つ。その、浦和寄りではあるが、そこそこの攻防の中で先制したのは磐田。前田の目の覚めるようなミドルシュートが都築の懸命のセーブをあざ笑うかのように突き刺さる。ここから流れがガラッと変わる。それまで縦に急ぎすぎていた磐田が、少しだけだが、パスをつなぎ始めて、立て続けにチャンスをつかむ。しかし、今一歩の所で追加点が奪えない。この甘さ、そして自分たちの流れなのに、簡単にボールを運ばせてしまう守備の緩さ。これではいくらなんでも、今のJ1では通用しない。先制後、磐田寄りに進んだ前半は終了間際に浦和がCKから同点に追いついて終わる。甘めの守備をついて、回され、フリーにされた永井が綺麗に叩き込んだ。内容としては悪くない前半だが、浦和はネネの負傷退場が痛い。代役の内舘に不満があるというより、ここに来てまたけが人というのが辛い。磐田は、若い選手たちががんばりを見せていたというだけで、長い目では希望がもてるものの、この試合に限って言えば現状を打開するまでに至らず、いくらほめたところで慰めにすらならない。
後半は、浦和よりペースで進む。あっという間に侵攻する浦和と、丁寧にボールを運び始めた緩い守備の磐田という図式は変わらない。それでもチャンスを作っていく浦和は、復調し始めたと言って良いだろう。田中達や永井が、再三チャンスに飛び込むが、あと一歩合わない。前半の先制点直後の磐田を真似しているのかというくらい、同じような「惜しい」シーンが続く。こういうじれた試合だと、小競り合いが発展して、つまらない警告が乱発されがちだが、幸いなことに、いがみ合いなどはなく進む。68分に磐田が動く。先制点の前田に代えて中山投入。このジャッジだけはいつも分からない。点を取った選手は、偶然にしろ必然にしろ、点を取ったことには変わらない。いわば「ツキ」のある選手なのに、なんで外してしまうのだろうか。フレッシュマンが入ることを考えたら、その選手のためにフォローすることを考えれば良いわけで、チームの総合的な体力の収支を計算する必要はないと思うんだが…。この頃になると前線とディフェンスラインの距離がだいぶたるんで来て、ボールを持ち合うようになるか、中盤での奪い合い(不思議なことに激しくはない…)が繰り返される。セットプレーのチャンスをつかみ、しつこく攻める浦和だが、一向に追加点は生まれない。一方の磐田も、FWを代えたにも関わらずチャンスらしいチャンスが作れない。73分に再び磐田が動き、福西→菊池。浦和がボールを持つ時間が増える。守勢に回る磐田は、前半こそ、もっと的確なプレッシングで容易にボールを運ばせまいという形ができていたのだけど、だんだんひどくなり、フレッシュマンである菊池がエメルソンを捕まえきれずにたまらず引っかける羽目になるほど、チームとしてのバランスが悪く、チェックが緩い。78分に永井→堀之内。これも同じく得点者を引っ込める采配。よく分からん。確かに、前田も永井もボール持って、走ってナンボの選手だとは思うが、それだけではないとも思えるんだが…。
そして今日のハイライト。早いボール回しから、磐田のカレンが久々にボックスに侵入。内舘と競り合った瞬間にバランスを崩して倒れたところを、なんと岡田主審はPKのジャッジ。スローVTRを見ても、単にカレンが勝手にこけたとしか思えない。猛抗議した都築に警告が出る。キッカーは中山。一度は決めるが、キック前に飛び込んだ選手が居たとの判定でやり直し。さすがの中山は、やり直しもキッチリと決めて、磐田勝ち越し。しかし、ここで食い下がれるのが浦和の復調の兆しであり、ここで同点にされてしまうのが、磐田の不調そのもの。カウンターからエメルソンが持ち込んで強シュート。2-2に追いつく。
お互い試合終了までチャンスをつかみかけるが、そのままタイムアップ。
浦和にしては、つまらないミスジャッジで負けそうになったアウェーゲームを拾ったことで悪くはなかった。磐田にしたら、せっかく勝手に転がり込んできた幸運をつかみきれず、勝ち点3をみすみす落とした、とても勿体ないゲームだったといえる。
それにしても、またもやってくれた岡田主審。この人、本当に日本最高の審判なのか?今シーズンは第1節目からケチがついた判定問題だが、根本が改善されずに、ファンはもちろん、やっている選手やスタッフのフラストレーションは相当のものだと思う。この試合で言えば、終了後に浦和の選手が、そしてブッフバルトまでもが、主審に噛みついていたことからもわかる。釈然としないジャッジが続くこの状況、いつになったら改善されるのだろうか。
さて。相変わらず山本さんは若手の育成と調整というようなことで言い訳しとります。磐田はいつになったら、「お試しでない若手」が活躍できるチームになるんでしょうか…。一方のギドは、前後半の内容、特に後半に浦和が再三チャンスを作ったことをほめながらも、フィニッシュの精度の悪さを反省して締め。