vsフィンランド

世界的に知られた選手もなく、世界大会での実績もなく。といってしまうと、それは欧州にはいくらでもあるわけで。ただし、ガタイが良いというだけでそれを想定クロアチアと言ってしまう図々しさはどうかと思う。さすがに欧州で戦ってきているだけあり、フィンランドはサッカーをよく理解しているようなプレーが続く。ただ、強力な選手も特別な戦術もなく、この試合は「慣らし」程度の意味合いしかなかったように思う。それで良いのであれば文句もないのだけど、ならば、同じメンバーで臨んでも良かったのではないだろうか。とはいえ、坪井と村井のスタメン起用、一度見たかった久保と巻の2Topなど、見所はあったし、一番の薬「勝利」というものが手に入ったのは何より良かった。突然甘いことを言うが、悩み始める前に、今やれることで結果が付いてくると、チームの雰囲気や調子は良くなる。時間がないからこそ、良い結果で良かった。


川口能活:GK
ほとんど危ない場面が無く、評価しようにも…ということで、割愛。

坪井慶介:DF
久々のフル出場。危なっかしさが意外と無かったのが好材料…なんて言うほど強力なアタッカーを持つチームではなかったので、リハビリとしては良かったのでは?というくらいの感想。どうせならアメリカ戦でどのくらいやれるのか見たかった。

宮本恒靖:DF
この試合、ディフェンス陣は言うことは無し。このくらいの相手なら無失点で当たり前。脅威とされていたセットプレーなどでの高さも、入ってくるボールの精度が悪いので、試練にもならず。無難に仕切って無失点。

中澤佑二:DF
さすがに余裕があったようで、固い守備あり、攻撃参加ありで、右の坪井に比べて存在の大きさが改めてわかる。この人も特筆すべき点はなし。このくらいの相手に後れを取るようなレベルではなし。

加地亮:MF・DF
攻撃への意識が高く、先制点の起点となる素早いスローインがその象徴的なシーン。決して急ぐということではなく、チャンスは全て狙うような姿勢は良かった。守備面でも問題はなかったが、このくらいの相手ならきっちり守ってもらわないと困る。

村井慎二:MF
ようやくお目見え。攻守にわたって強力にアピールし続けたプレーぶりは頼もしい。決して精度の高いプレーばかりではなかったが、三都主のもたついたようなプレーに比べれば、日本のスタイルにあってる気がする。ただ、これがレベルの高い相手でどのくらい出てくるのかということと、パス精度とコンビネーションの甘さといった問題は残る。坪井同様、使うならアメリカ戦だったのではないだろうか。

福西崇史:MF
「らしさ」はところどころに出ていたが、相手のレベルが高くなく、プレッシャーが低かったからに他ならない。まだミスが多く、全く本調子ではない。

小笠原満男:MF
調子持続。絶好調。このレベルのプレッシャーなら、苦にしなくなってきている。しかも、先制点のアシスト、追加点となるスーパーロングシュートを放つなど、生き残りへ強烈なアピール。前線での絡みも多く、間違いなく攻撃をリードしていたと言っていい。守備面でも身体を張って奮闘し、長いパスでの展開より、近所にいる仲間を生かすようなショートレンジのパスでリズムを作っていた。調子とプレーのバランスの良さで考えると、今のところ、MF陣一番手かもしれない。

小野伸二:MF
深い位置からの展開の広さはオランダでも実証済み。この人の特徴は視野でも正確なロングパスでもなく、ボールタッチとアイディアを実現させる技術の高さ。プレッシャーの低い、深い位置で下手に時間があるより、時間もスペースもない前線でボールを受けてのダイレクトプレーを期待した方がチャンスが増えるはず。こと、このくらいのチームなら、前で使った方が良かったと思うんだが…。トップ下は中村の予約席なのか?

久保竜彦:FW
どこかで誰かが「久保は 2 トップでこそ生きる」という指摘をしていたが、それを裏付けるかのような内容。巻とパス交換でのコンビネーションはさほど多くは無かったものの、空けてもらったスペースを上手く利用したり、裏への動きだしという「らしさ」が出てきた。相手が落ちたのと、2試合目でリズムがつかめてきたのもあってか、追加点をマーク。怪我の具合は良いようなので、どこまで戻していけるか。

巻誠一郎:FW
自身の得点は無く、後半に佐藤寿人と交代して退くことになったが、内容は次第点。クラブで培ったスタミナを惜しみなく使い、豊富に動き回ってスペースを生む他、相手ボール時に高い位置から積極的にプレッシャーをかけにいった。やっていることがシンプルで手を抜かないため、貢献度の高い選手といえる。決して巧くはないが、集中力や姿勢は代表としてふさわしい。

佐藤寿人:FW
隙間にスルスルっと抜け出てビッグチャンスをつかむものの、ダイレクトで放ったシュートは、GKがわずかに触れたことでポストを叩き、残念ながら初ゴールはお預け。とはいえ、アメリカ戦よりはスペースがあり、持ち味は出ていたと思う。

駒野友一:MF
加地と交代で投入された。精度は加地とあんまり変わらないので、完全なるバックアップといっていいかもしれない。「佐藤寿人とのホットライン」といえるほどのプレーもなく、特筆すべきことはなし。

三都主アレサンドロ:MF
特別に言及することはない。ジーコには、わかってる選手を使うな、と言いたい。プレーは相変わらず工夫がない。1試合を通じて、チームの流れに貢献することができる日が来るのだろうか?自分のペースは、チェンジオブペースではなく、流れを止めるものだということに気づく日が。


というわけで、総じて「格下になったんだから出来て当たり前」という論調に終始してしまったが、どう考えてもこういう言い方にしかならない。そこで何かを拾えると良いのだが、その収穫は「試合慣れ」と「勝利」というものだけだったように思う。