イタリアvsアメリカ(BS)

ガーナを下したイタリアとチェコに完敗したアメリカの一戦。調子から言えばイタリアが快勝して終わるだろうという感じもしたのだが…。
この試合、得点の前に荒れに荒れたことを述べておこう。原因は単純にお互いの削りあいなのだけど、主審の基準がぶれないんだから気をつければ良いのに、双方とも軽率なプレーが多かった気がする。足裏タックルで2人の退場を出したアメリカにもあきれたものだが、それ以上に恥ずべきなのがデ・ロッシの肘打ち。スローで見なくとも明らかに腕だけを振っている。あの場面で肘打ちをしなければならない意味が分からない。数年前から肘打ちに対するジャッジが厳しくなっているし、割と荒っぽいセリエでも、例外なくきっちり処分される。何を考えていたのかさっぱり分からない。まだ手を打つ段階でも無く、全く無駄な反則だった。
流れとしては、さほど力差はないにしろ、イタリアがボールをもって攻める中で、アメリカがカウンターを繰り出すという予想できる展開。得点は両方ともセットプレーからなのであまり解説する気は起きない。イタリアの先制点は右サイドからピルロが入れたニアへのキックに反応したジラルディーノがダイビングヘッドであわせたもの。ミランのホットライン。アメリカの失点はイタリアのOG。センターを越えて裏に落ちるところをダイレクトでクリアしようとしたザッカルドがキックミスをしてそのままゴール。どちらかというと、ゴールシーンよりも、惜しかったシーンの方が良い形が多かった。イタリアは、後半終了間際に押し込んだ時間帯。らしい、シンプルなタッチで回して穴をつくことを繰り返す。途中出場のデル・ピエロを中心に再三チャンスを作るが、アメリカGKのケラーがファインセーブを連発し、ゴールを割れない。一方のアメリカも、9人ではやることが限られる上、体力が落ちてやられるだろう…と思っていたのだが、無尽蔵に見える走力を生かし、効率のよいカウンターでイタリアを脅かす。逆転!…というシーンもあったのだが、オフサイドで取り消し。
荒れた試合ながら見るべきところは多く、好ゲーム…とは言いがたいものの、死闘と呼ばれる類のゲームだった。実はこの試合、一番見るべきは主審だと思う。非常に難しい判定が続く中、スローで見返しても間違いの無い正しいジャッジが続いた。笛が鳴ったほとんどのシーンで、この主審は、プレーが起きた場所のすぐそばで見ていることがとても多かった。警告も退場も文句が言えるような状況ではない。もし、この試合の判定に異議があるとしたら、FIFAはものすごく困るはず。こんなに良い主審を外すとなれば、他にどんな素晴らしすぎる審判員がいるんだろうか?と悩むだろう。それから、この試合が荒れたのが主審のせいだと思っている人がいたら、もう一度見返してほしい。イタリア、アメリカ、ともに勝手にラフプレーを連発していたのが原因だと気づくだろうから。主審までハイレベルなのはさすがW杯。