システムの功罪

システムには、何事もそうであるようにメリットもデメリットもある。
メリットとしては、すでに決まったチームの形を伝達しやすい。ある種世界共通語なので(サッカーを知っていれば、数字の羅列を見せて少し説明を加えれば何を意味しているのか分かるだろう)、戦術・戦略の共通理解としても使うことができる。
例えば、数字の大きいところは、戦い方の上で焦点となる。 3-5-2 や 3-6-1 なら中盤での攻防を持ち味とするのだろう。 4-3-3 や 3-4-3 なら、攻守に渡ってバランスよく、全員でサッカーをするのだろう。 4-4-2 や 4-5-1 なら、後ろから分厚く攻め込むんだろう。といった具合に。選手それぞれは、その数字のどこを担当するのかを伝えられることで、おおよその役割を理解する。
デメリットとしては、システムに拘泥してしまい、チームの硬直化を促すことがある。簡単に言えば机上論としての「役割分担」に全ての判断を転嫁してしまい、サッカーで最も重要となる「現場の判断」が鈍る、あるいはできなくなる可能性がある。また、長く同じメンバーでプレーできている間は問題なくとも、システムに寄りかかりすぎたチームにサブのメンバーが入ったとたん、流れが悪くなることがある。徹底すれば、サブメンバーまでシステム的な話を刷り込むことは可能だが、そこは生きている人間。「試合勘」を取り戻すまではなかなかスムースにはいかないことも多い。そして、これは監督の個性によるが、自分の理想を追い続けるあまりに選手を当てはめすぎて、持ち味を生かせないばかりか、チームの空中分解にまで発展することがある。