大宮vs浦和(地上波)

昨日の試合だけど今日メモ。
後半から。早く始まってるなんて知らんかったよ。なので、全ての感想は後半のこと。前半はご容赦。
結果から言えば、いやな予感がしたとおり、浦和が大宮に屈することとなった。「窮鼠猫をかむ」ならぬ「窮栗鼠悪魔をかむ」ということですね。前半はよく分からんが、後半だけを見ても、大宮のこの試合にかける意気込みは分かった。何しろ、簡単に振り切られることが少ない。ダメダメな大宮だと、簡単に振り切られるどころか、カバーに入ったやつも淡泊で、やすやすと失点する。が、この試合は全然違った。後半も遅い時間帯になるとかなり押し込まれて、5バックになってしまう場面も多かったが、とにかく最後の最後まで粘っていた。
唯一の得点シーンは出色の出来。レアンドロがドリブルで持ち上がり、競りかけてきた闘莉王を振り切り、なおも追い続ける闘莉王をブロックしながら前をふさぎに来た阿部*1の裏へスルーパス。阿倍の足が止まる寸前に出たパスは、ナナメ前を走っていた森田の足元へピタリと合う。抜群なタイミングで反応した森田は、飛び出してきた都築の逆を付いてワンタッチで流し込んだ。いやー…綺麗なカウンターだった。泥臭い始まり方をしたのに、とてもシンプルなプレーで決まるカウンターもそうそう見られるものではない。DFのオーバーラップからはじまったというのも、現代サッカーっぽくて良かった。
一方の浦和が悪かったかと言えば…悪かった。何よりプレーの精度が悪かった。疲れそして、なんといっても、あれだけ貢献してきた平川ではなく相馬を出したこと。平川だったらこんなに苦戦してなかっただろうなぁ…と思う。何しろ、仕掛けのタイミングや守備の貢献度が全然違う。残念だが、相馬は全く良くなってない。もっとも、今相馬がレギュラーなのだとしたら、三都主がいる頃にもっと脅かしていただろうし…。
それにメンバーにも疑問が残る。オジェックって、湯浅さんの言うところの「フットボールネーション」の出身なんだが、「Wining Team Never Change」を知らないわけじゃないだろうし、ダービーの意味も知らないわけがなかろう。というわけで、きっと、「窮鼠猫をかむ」という日本語のことわざを知らなかったに違いない。なめちゃダメなんだよなぁ…ダービーは。マンチェスターやミラノ、トリノ、ローマみたいな歴史はないよ。でも、因縁ならいくらでもある。特に、元浦和の選手が何人かいるんだから。交代で突っ込んだ小野らも機能しなかったし。小野を使うなら前戦に突っ込まないとダメだろ。前から言ってる通り(って、ここで言っても伝わるわけがないが)、ああいった緊迫した時間帯でガラっとテンポを変える力がある。密集において、楔を刺し(このパスはとても高速でかまわない。小野以外受けられそうにない難しさでいい)、ワンタッチで次のプレーを期待する。シュートでもパスでも。あんな深い位置なら小野でなくていいよ。ロングパスをさせるなら阿部にでも任せれば良かったのに。
というわけで、勝ち点4差あったのがあっという間に1差に戻ってしまったわけだが…ま、逃げる場合ってのは、そのまんまちぎってもいいけど、第4コーナーで後続を一旦引きつけてからダッシュかますって方法もあるんだしね。…としておこう。大宮も勝ち点3を稼げたし。良いことをしたかなぁ、とか。とかなんとか言っても、負けたのには変わりないんだけどね>浦和

*1:これ、阿部じゃないわ。VTR見たら。阿部は森田と併走してゴールに向かってたヨ…誤認です。スイマセン

vsベトナム(地上波)

とりあえず後半20分頃から。録画してあると思われるので、後でちゃんと見たい。A代表も同じく。
まー、まずはなんといっても平山さんでしょ。反町さん、どうするのかねぇ、この人。もう使えないよ。これじゃ。最近はFC東京の試合を見てないけど、実戦から離れていたような雰囲気すらあったし。とはいえ、擁護するところはある。最近では、加地や巻が通ってきた道だけども、「良い場所にはいる(ポジショニングや読みはいい)んだけど結果が出ない」というやつだ。加地は危ない場面できちっと追いついているのに、守備の甘さからそのまま失点して「加地〜」というため息を量産する要因だった。巻もかすったようなプレーが多く「なんで決まらないんだよ…」と、数多くの諦めムードを演出した前科(?)がある。平山もそう。「決定機を外す=良いところには居る」と言える。言えるんだが…外しすぎだろ。ここをジーコよろしく使い続けるのか、バッサリ諦めるか…なんだが、多分前者だろう。このまま北京まで行くんだろうなぁ。まぁ、誰かがキレないと良いけど。
日本で良かったのは、梶山以外かなぁ。こっちもFC東京の選手だな。良いところが出てなかった気がする。例えば、視野の広い組み立てとか。そういうのが、見ていた時間帯はほとんど無かった。柏木やら本田やらが走り回ってたから、あんまり必要なかったのかもしれん。というわけで、全体的には狙ったような攻撃があったりして悪くはない反面、ベトナムの鋭い攻撃に不用意なファウルをしたり、安定感はあんまり無かった。そういう意味では危ないシーンもあったのだけど、主導権を取って、自信を持って戦っていたので、反町さんがしかめ面するほど心配はしていない。なにせまだ1試合なんだから。
そのベトナム。J発足の頃の日本代表を思い出す。ボール回しはそこそこ上手い。たまに鋭い攻撃もする。相手に冷や汗をかかせる時間帯も作れる。けど、お膳立てから先、フィニッシュが甘くて勝てない。「良い勝負だったなぁ」と言う感想が残るが、結果は出ない。そんな印象。このところ縁がありますね、ベトナムとは。聞いた話だと、東南アジアの国でも、トップクラスの、とても勤勉な国民性が特徴だという。その真面目さが生きてくれば、近い将来、きっと強くて良いチームになってくるかもしれない。Jリーグに来る選手が出たりしたら楽しいなぁ。欧州や南米は遠いし、アジア各国の選手が活躍の場を求めてきてもいい。そういった動きは、日本を刺激するし、アジアの底上げにもなる。なんだか、大東亜共栄圏みたいな話になってしまったけど、Jをステップにして世界へ出て行くアジアの選手が増えて良い。でないと、欧州と南米、アフリカにおいていかれちゃうし。
閑話休題
ひとまず、いつものように初戦の勝ち点3はありがたいと思うことにしよう。言い出したらきりがないし、文句言って得点が加算されたり、次の勝利が確約されるわけでもないし。がんばってもらいましょう。

4級審判講習会

かれこれ7、8年くらい前にとった資格だけど、その後更新せずに失効していたのと、住んでるところが変わったのと、相方がとるというのでその付き添いで行ってみた。
真面目に聞くと、ルールはエライ変わってますなぁ。今まで惰性で「はーん。この辺が変わったんだー」とかテキトーに流していたのがお恥ずかしいくらい。毎年、FIFAが更新した分くらいは分かっているつもりだったんだが、全文見ないとダメですね。とほほ。
内容は、午前講義、午後実技+質疑応答+筆記試験。所詮4級なので、講義といってもボールとグラウンドのサイズ、試合の運営と報告方法、主審と副審の役割、直接・間接・警告・退場そしてオフサイドという具合。まんま基本ですね。
講義内容で驚いたのが、今は綺麗なDVDがあるんで、オフサイドやファウルのケーススタディがわかりやすいのなんのって。きっとまるっきり分からなくても、これで解説されれば把握しやすいでしょう。映像に使われているのはJのチームによる試合(リーグ、カップなどいろいろ)だったのだが、千葉、浦和、G大阪、大宮、川崎、名古屋、広島、新潟、C大阪、清水、磐田、福岡が出てたかな。他にもあったと思うけど、とりあえず思い出せるのはこんなとこ。もしかしたら、データセンターのデータを生かして、珍しい場面が多い試合をピックアップしたらこんなことになったのかもしれない。まぁ、選考基準は全く分からないが、長谷部が小学生みたいなファウルスローを取られていたり、ワシントンがあからさまに相手のシャツを引っ張った後で平謝りして警告をくらうシーンなどは思わず噴いてしまうところだった。もちろん、どっちも覚えてたけど、こんなところで使われるとは努々思うまいて。
午後の実技というのは、4チームに分かれてそれぞれ講師につき、フラッグの振り方を実演させられるもの。ははぁ。確かに実際にやってみないと分からないかもなぁ。ずっとやってきたので当たり前のようになってる動きを、「はい、やってみましょう」と言われてやるのは、ちとこっぱずかしい。タイミングも計りにくいし。ボールがないところでイメージしながらやるのは難しかったです。はい。
質疑応答はホントになんでも質問の時間。その後のペーパーテストはマルバツ式の1問4点、全25問で100点満点。1個間違うと4点マイナスで、70点が合格ライン*1。不足した人は解散後補修を受けるらしい。まぁ、受講者の中には「小学生?」という感じの人もいらっしゃいましたので、何人かは補修したんだと思います。
感想としては「段取りが悪い」です。8時20分から受け付け開始、とあったのに、よく分からない説明を大声で張り上げられた後に、8時25分くらいからスタートだったし、午後の4チームに分けての実技も、いちいち4人一組を作らせてから、それをABCDに分けて、といった面倒なことをさせられ、どういう段取りでナニをするのか説明無しで「はい、じゃ、次は○○」と突然言われる始末。そもそも、4チームに分けて実技をするなら、最初の資料を配る際に、ABCDを決めて「実技の時間のクラスになります」と一言言えばそれで済むじゃん。しかも、実技の前にあったレフェリーの格好やら道具やらの説明なんて、炎天下のアスファルトに座らせてレクチャーすることじゃないでしょ…。屋内で見せてから出てってもいいと思うんだがなぁ。
そして最悪だったのが、講義室のエアコンの故障。夏休みになる理由がよーくわかるくらいの蒸し風呂。しかも、窓の外からは(自主規制)な音楽が大音量で流れ込んできて、講師の方も「審判も集中力が大事です。がんばって乗り切ってください」などという始末。日本で一番最初に、今年度版のルールブック(翻訳済み)がもらえたって、うれしくもなんともないっす。もっとのんきな機会だったはずなのに…。なんか気分的に殺伐としながら過ごしてしまった。

えー、次もこうだかは知らないけれど、テストはこんな感じでしたよー、というお話は…
・「あるケース」を状況説明している1文に対して○×で回答
・意外とビミョーな内容が多い。ペナ内のボールをGKが外からつかんだらどうだって?みたいな
・とりあえず、基本的な事柄が分かっていないと難しい。ルールブックの数字などを丸暗記しても役には立たない
・深読みはNG。素直に回答すればいいものを、勘ぐって間違いました。とほほ
・ふつーに競技者の人であれば、5問くらいは落とすでしょうけど、それで-20点なので、ボーダーは超えます。よゆーで
ってな感じです。これから受ける方にフォースの加護があらんことを。
あ、そうそう。プリントアウトして持って行く受講証、くっきりプリントした方がよいです。最下部のバーコードが読み取れなくて時間がかかってる人がいましたので。受付がバーコード読み取りってのもすごいですね。よく考えたら。

*1:はい。計算がおかしいですね。でも、こう言ったんだもの(多分)。正確に言えば、4×8=32で残り68点なので、7問まで間違えてOKということかと

アジア杯の内容

韓国戦の内容を記そうと思って録画を見返したところ、延長戦がはじまったところで切れていて、めげた。仕方ないので、まだ記していない試合も含め、アジア杯の日本代表についてメモしておこうと思う。


1)台所事情
とにかく人選で苦戦した気がする。例えば、韓国も負傷者を見送っており、日本だけではないのはわかるが、闘莉王、播戸、稲本、中田浩二三都主、宮本…と、普通に呼ばれてもおかしくないメンバーがさまざまな理由で外れてしまった*1。おそらく…だけど、播戸の離脱はことのほか痛かったように思う。今回のメンツをざっと見渡して、バカができそうな(≒はしゃぐことができる)選手が居ない。中澤がOZMAの真似をしようと、高原が鍋っちで面白いことを言おうと、千葉組が掛け合い漫才を披露していようと、そういうことではなく。となると、疲れたときにどうしてもスッキリサッパリと気分を切り替えるのが難しいんじゃなかろうか。あくまで推測でしかないけど、ガハハと笑っていれば、ミスの反省から深刻*2になる前に、フツーに次へ入っていけるような。プロだろう?ってつっこみもしたいのだけど、羽生の「PKは蹴りたくなかった」というコメントが象徴的だ。重圧に耐え切れずに…ではなく、重圧に苦しみながら青いユニフォームを着ていた選手が他にいてもおかしくない。大会ってのは異常な空間だ。衆人環視の中、よくても悪くても、サポーターからは拍手喝采が、相手サポーターからはヤジやブーイングが飛んでくる。こんな場所、他になかろう?それは経験しないとわからないものだし、それを凌駕するのは生まれ持ったパーソナリティだが、大舞台で最初から、何があっても心底物怖じしない日本人、何人いるのかね?


2)身についていない戦い方:攻撃編
ボール回しの段階では見るべき点はあるし、何気なく眺めていたら欧州とか南米のチームのように見えることすらある。そのくらいスムースで良い場面が多いのだけど、疲労が蓄積してくる後半でパスミスや行き違いが目立つことからして、身体が完全に覚えているわけではないことが伺える。クラブに帰っても、チームのスタイルがどうであろうと、意識だけは高くもって、早く慣れてもらいたいもんだ。
これは時間の問題だからまだ良い。目的へ成就しない回数が多すぎる方がとても問題。得点が取れないという前に、ここが重要な修正ポイントになってくる。この場合の目的は「最終目標」のシュート(あるいは得点)ではなく、その前段階のお膳立てのことを指す*3。特にラストパスやセンタリングの精度が低いことが、ミドルシュートやドリブルをしないことと相まって、ほとんどのアタッカーから怖さを奪ってしまった。怖がられていたのは高原だけ。結果を出していたことが大きいが、ペナルティエリア内での反転スピードやトラップのコンパクトさ、キープ力、隙を突いたシュートなど、ブンデスリーガでコンスタントに出場するということの意味の大きさを存分に披露していた。つまり、何かができない(下手)なら、得意なことは失敗してはいけない。でないと、怖くない選手になってしまう。下手すると「ちょっとボール扱いが上手い、体力がある一般人」とさほど変わらないレベルにさえ見える。
それから、ボールを失うことと、失うリスクを取ってでも行うべきプレーのバランスが著しく悪い。判断基準が透けて見えるようなプレーってのは問題だろう。例えば、ペナルティエリア付近まで進出しても、中に2枚以下ならバックパス、中が多くてもDFが揃っていたらバックパス、など「条件設定」に基づく素直なプレーが目立った。このblogでは何度も何度も言っていることなんだが、フェイントをするには「ホントに見えるウソの動作」がいるし、スペースを空けたければ「一度、そこから人を取り除く動き」が必要だ。なんでソレがいつまでたっても出来ないのかね。個人レベルで。中村俊輔がよくやる動きとして「左足でセンタリング(シュート)すると見せかけて切り返して交わす(あるいはパス)」というのがある。これが一番わかりやすい例の1つだ。いつも左からサイドチェンジやセンタリング、シュート、ロングパスといった、モーションのデカイ、相手にとって致命的になるプレーを連続し、成功させているからこそ、DFにとって絶対に譲れない領域とタイミングにおいて、中村俊輔の「左キックのモーション」は、極上の餌となる。実際にも、その餌食となってタックルを空振りしたDFが数多いのはご存じのとおり。ここが変わるだけでも劇的に攻撃が増えると思うんだが…。


3)身についていない戦い方:守備編
足が動いている時間帯の中盤守備や、縦関係のチェイシングは安定していたと思う。特に2トップや、巻がいる構成での攻守の切り替えと守備開始位置の高さは、アジア各国を見回しても、まねできるチームはないだろう。更には、コンパクトに押し上げたラインで戦い続けることや、常に高い位置から守備を開始することに「拘泥しなかった」のは進歩だと思う。トルシエ時代は「いつも前線から追い込んでコンパクト」にし続けることを強制され、ジーコ時代にはそういう守備戦術はほとんど無かったため、トルシエの遺産+選手によるカスタマイズで機能していた。しかも、W杯が近づいた頃になってようやく「やりやすい」という理由で3バックに決まったという経緯があるくらい、思想めいたものはなんにも無かった。オシムが進めているのは、「意識的に、ボールを運ぶ選択肢を減らす」「ボール奪取に瞬間的に人手をかけることをいとわない」というごく当たり前のプレーが多く見られるくらい。強いて言えば、冒頭にも触れたけど、今のトレンドになりつつある「縦関係のチェイシング」を徹底させている部分くらいか。とはいえ、これはやらないと守りきれないので、基本的な考え方、戦い方として外したり、カスタマイズしたりするレベルの話ではない。よって「これがオシム流」みたいに見える動きはあまりない。
ではなぜ、韓国戦以外全試合で失点したのかといえば、「攻撃のために守備が手薄になるリスク」をどの時間帯でもカバーする(意識する)だけのレベルにまで至ってないことだろうと思う。「そんなの基本だろ」と言いたいところだが、オシムは攻撃だろうが守備だろうが、動きを増やすことを要求する。これは印象でしかないのだけど、クラブチームでやるよりも体力が目減りしていっているように思う。となれば、集中力のレベルは落ち、身についていないプレーは精度が落ちるか、できなくなってくる。後半の中盤過ぎによくあったパスミスや意思疎通の欠如のようなコンビネーションが頻発したのが、そう感じた理由だ。人間、身体が覚えていない動きの精度や正確性を上げるには、思考で補うしかないのだから。


4)スケープゴート
最後に、試合内容とは直接的には関係ないことで〆てみる。
試合が連続する中で、成績が伴わない、あるいはスッキリとした結果が出ないと、マスコミによって戦犯というものが作られていく。その手法を覚えた一般人によって、解任論とか招集するな、といった論調がblogで量産されていく。
問題なのは、そういったことが出てくることではなく、「いつもいつも同じ展開」になるところ。持ち上げて落とす。得点出来なかったら「不要」。失点したら「不要」。負けたら「解任」。勝てなかったら「解任」。優勝できなかったら「いままで最弱の代表」。並べるときりがないのでこの辺にしておくが、とにかく、どれを読んでもおおよそは個人の雑感レベルでしかない。なぜなら、該当する人たちに切り込んでインタビューしてるわけではないから。画面を見て、競技場で見て、記者会見を経て書かれる。ちょっとマテ。そんな情報だけで決めるのは問題じゃないか?監督の考えをちゃんと聞いたか?過去の試合の統計は取って裏付けているか?ダメなことを考察してるか?理由もなく過程も飛ばして結果だけで是非と問うたところで何になるんだろうか。日本はアジア最強ではない。最高峰の、最先端の(という言い方がこそばいなら「モダンな」)サッカーをする、「アジアの」強国の1つにすぎない。そしてその地位も盤石ではない。だいたい、あのブラジルでさえ、W杯の予選や南米選手権でかつての弱国に苦戦する時代、いまの日本程度で最強に君臨し続けられるわけがないんだけどなぁ。湾岸地域だって東南アジアだって、世界の時流に乗っていこうと努力している。選手層は厚くなったかもしれないが、試合運び、個人技、体力、戦術理解、思考力などは、10年前から大して変わっていない。いうなれば、それまで勉強の仕方が悪くて九九ができなかった子が、一所懸命勉強して九九が完璧になったところで、他の子を大きく上回っていることがあろうか?まぁ、日本の場合は九九を覚えたのに3桁の足し算を忘れちゃうようなマヌケな展開になってる気がしないでもないけど。
閑話休題
つまり、過剰な期待、無駄なスター待望論、勝手にスター扱いしておいてけなす自作自演、といったサッカーには関係ないところでの無駄な動きで、サッカーをつぶさないでほしいわけです。もっとも、川渕さんからして「スターがほしい」とか「視聴率が」みたいなことを言ってるんだから*4、何とかしてほしいところだ。そういう点では、今やJ2が理想の世界な気がする。あの「おらが町のチーム」の熱心さが集約して代表が強くなると思うし。そうしたいなら、黙ってJリーグを応援しろってことで、ひとつ。代表だけ見てるのも良いけど、きっと損してると思う。そういう人は。


5)まとめ
コンフェデ出場権を失ったのが痛い。コレにつきる。このまま結果が出ない選手がいるなら、あっという間にU世代との融合が進んでレギュラー獲られると思うけどね。がんばってほしいところです。みんな。

*1:闘莉王と播戸は怪我。稲本と中田浩二は移籍のドタバタ、三都主と宮本は早々にチームに合流している。U20世代はカナダだったし

*2:もちろん真剣でなくてはいけないが、のちのちにまで影響を与えるような落ち込みにはならんでしょう、ってこと

*3:アタックのラストを飾るのはシュートであるのは当然なので

*4:ソースはいちいち出さないけど、各スポーツ誌・紙を参照のこと。アジア杯前のコメントだったかなぁ。キリンチャレンジとかの

vsサウジアラビア(BS)

「ほうほうのてい」でたどり着いた準決勝。「いたら良いのになぁ」と思う選手を何枚も欠きながら、なんだかんだで準決勝を戦ったのだから、日本の地力というか底力というか選手層は、アジアでもトップクラスだとはいえる。何より、ここまで結果を出してきたのだから、一定の評価は出来ると思う。とはいえ、内容も全く良くないかと言えば、オシムが目指している山のふもとに立った、というくらいの感じは見て取れる。当のオシムが満足してるかどうかはわからないけど。
どちらにせよ、日本のアジア杯はここでオシマイ*1。お疲れ様でした>選手、スタッフのみなさま&現地で応援してた人たち

えー。先に断っておくと、名前をあげつつ話を進めると、あるところで戦犯みたいに見えるはずなので、個人名はあげずにたらたらんと行ってみたいと思う。

前半立ち上がりは全くの日本ペース。軽やかに、何かリズミカルな音すら聞こえてきそうな、なかなか良いテンポでボールが回る。が、回るだけでなかなかフィニッシュに行かない。「行けない」ではなく、「行かない」。隙を見つけたらスピードアップさせよう、というそぶり。ところが、まぁ、結局、それがサウジのリズムと合っちゃったんだろうなぁ。結果論から言えば。元々、カウンターかテレテレか、という感じのリズムがサウジの特徴なわけで。安全圏で素早くボール回しをするくらいなら、後者、つまり「テレテレ」のリズムにあってしまう。かといって、カウンターの打ち合いをやったとしたら、それこそ、攻撃時の個々のスキルが高いサウジの得意な流れではある。「じゃ、どーすりゃいーんだよ」ってことなんだが、まさに代表が狙っていた「ボールを持った状態からスピードアップないし、ペースをチェンジする」ことが正解だと思う。だから、やってたことは悪くない。つまり、サウジはそれほど戦いにくい相手ではある。救いはセットプレーの精度はカウンターほど高くないこと。
この試合の先制ゴールはサウジ。「アクシデント」という。あえて。さらに無茶を承知で言うが、カウンターのような一瞬の隙を突いた攻撃という意味で、サウジらしさが出た1点だったと思う。試合の中でのファウルの取ってもらい方も、時間稼ぎも、さすがは中東のチーム。この辺は、地域特性だな。完全に。社交辞令ではなく、敬意を表すべき点だと思う。決勝では、久々に美酒を味わって欲しい。どうせなら、ここしばらくは、日本とサウジがかわりばんこなので、せっかくだから次回まで続けたいよね。

閑話休題
失点シーンを続いて見ていくと、2点目は、ワイドに開いた選手にフラっと釣られてギャップが出来たところにスルーパス1本。綺麗なセンタリングが中の2枚のうちのニアの頭にドンピシャ。これも一瞬の隙。で、3点目は、1vs2で見かけ数的優位*2の状態から、同じリズムで2枚がイッペンに振り切られてズドン。これも一瞬の話ではあるんだけど、どちらかというと、試合運びに言及したい。それまで、サウジも意外なことに「空いている味方を探して渡す」を優先していた。それが、この局面だけ個人技。「なんか今日はドリブルしないなぁ…」と思っていた矢先のこと。うーん。駆け引きを狙ってるとしたら大したもんだよなぁ。

一方の日本。失点直後にCKから同点にしたのは良いんだけど、後半の立ち上がりでやられるなよなぁ。なんか、マークとの距離が甘い気がしてたのだけど、3点目はその懸念まんまだもの。相手との距離が遠い。密着は振り切られやすいのは分かるけど、今日の日本は、守備については問題ないくらい、何層にもラインがしかれてたわけで。相手のターンについていけないノロマもいないと思うんだよねぇ。まぁ、この「相手との距離」ってのは、ターンオーバーした際に、相手から離れやすいかどうか、というところも関係してくるので、確かに、むやみやたらに張り付けば良いってもんじゃないのもわかる。わかるんだけど…うーむ。離しすぎだよね。トップクラスのDFの選手を思い起こしても、危ないところは密着してる気がするし、間合いを自分の間合いに詰めて、縦には行かせないよなぁ。そういうのと比べられないけどね…。
3失点後から、かなりチャレンジングなプレーが増えたのはいいんだが、ちょっと遅い。リスクを冒すならもっと早い時間でないと。誠に勝手な見え方としては、「先に数点取って息の根を止める」ってのがプランだったような。ならもっと早い時間にチャレンジしようよー。なんだよ、後半も半分過ぎた頃から、いきなりミドルシュート連発して。それを前半からやった上で、細かいパスが裏をかけるようになるんだろーが…。なんでたって、こんなに布石が打てない人が多いんだろうか。「見せのプレー」をもっとやろうよ。プレーの選択肢が増えれば相手が困るんだから。やっぱり正直者ってことなんだかね。逆に言えば「だましあい」の連続のサッカーにおいて、これだけ正直にプレーして勝ち進めるんだから、大した物なんだろうね。と、ちょこっと皮肉も言ってみる。

考え直して個人個人に触れようと思ったけど…冒頭でも断ったとおり、戦犯に見えることもあるだろうから、止める*3。ボール大好きっ子ばっかりだったなぁ。それじゃ、チャレンジングなプレーは無いよね。フツーに考えて。

というわけで、次回のW杯へのステップとして、よいトレーニングになったという感じだなぁ。ボールの動かし方はずいぶんと良くなった。でも、それが続かないし、気が抜けることがある。この「取りこぼし」的なプレーが減れば、相当な相手とも戦えそうな気がするんだけどねぇ。コンフェデにでることが出来ないのが残念かな。次回の大会のシードにしてくれなくて良いから、3位までつれてってよー、と勝手なことを思ったりする。そしたら、3決も盛り上がるのに。

*1:カップ戦を戦っていることを考えれば、3決は本来の目標ではないので、という意味で

*2:実は、2枚のDFというのは、間を割るようにドリブルすると、以外と楽に抜けたりする。そういう意味では、なまじ1vs1より難しい局面になりやすい…気がする

*3:それに主に中盤の選手への愚痴しか出てこない…気がする

vsカタール(BS)

今回のアジア杯は、蒸し暑い東南アジア、ベトナムで開催。まぁ、この時期、アジアは総じて蒸し暑いんだけどねぇ。オーストラリアでやったら、少しは良い頃なのだろうか。南半球だし。

と、このように、前回同様、精神的な戦いになると思うので、戦術的に細かい話ってのあんまりない。この試合を見てもわかるように、たとえて言うなら、「アジアで最も良く切れるハサミを持ってるのは日本」ということに変わりはない。相変わらず「使いどころでそのハサミを使えるか」という問題は、「ストライカーの育成」と並んで、日本サッカーに永遠にかせられた宿題なんだけども。例えば、遠藤が、せっかく切り込んだのに横パス出したり*1、無理矢理感の強い中村憲剛のミドルだったり*2
それと、どーも、アジア杯の雰囲気というのはよろしくない。少し荒れた映像と、蒸し暑さを感じる選手の様子、耳なじみはあっても未だに何を歌っているのかわからない拡声器からの応援歌。この辺が合わさると見ててもちっとも安心できない。などと思いながら見ていたからなのか、結局は先制しつつもドロー。「勝ち点2を失う」と言って良い内容。

得点シーンはずっと狙っていたアウトサイドからの形。早い中盤のパス交換から左に開いた今野へ。それまで左足で失敗していたセンタリングを右のアウトサイドに切り替えて中の高原へ。体勢が逆になって反転しながら左インサイドで合わせた。
失点シーンはFK。阿部が競った時に不当にはじき飛ばしたという判定だった。人によっては取らないかもしれない、という余地があるにしても、時間帯を考えると軽率なプレーだったと思う。別に体当たりをしなくても、川口に安全圏を確保してあげるだけで良かったのになぁ。とはいえ、試合後の高原の「FKを取られる前の過程で追えてないのが問題」という主旨のコメントにあるように、阿倍のせいだけではない。この「ぽっかり感」とでもいうべき息切れ現象は攻撃にも散見された。ボールを回してペースを変えるところで足も止めてしまって取られるとか、パスミスを繰り返すとか。「ペースを変える」と「ペースを落とす」と「ゆっくりやる」と「急がない」と「休む」が切り分けられてないような気がする。
 ・ペースを変える:例)ワントラップ+パスで回してる中であえてワンタッチでパス
 ・ペースを落とす:例)早いドリブルで進んだ後、歩くスピードにする
 ・ゆっくりやる:スピードを上げない(ボールではなく、プレーや移動スピード)
 ・急がない:スピード重視でとにかく前へ送ることはしない。早くしたいところでも着実に運ぶ
 ・休む:完全に休むのはハーフタイムで、それ以外は、足を止めても頭が休む暇はない…と思う
という具合になると思うんだがなぁ。そんな中でも、中村俊輔はさすがにスコットランドでサッカーの試合運びを学んだんだと思う。手詰まりをことごとく打開するような長めのパスを的確に使い、ショートパスの使いどころを心得ているような。久々に代表できちんと機能してるところを見た。この人、アジア杯が好きなのかな。高原の強さも良かった。山岸も悪い選手ではないが、ちょっと格の差が明らかになってしまった感じ。
人の名前をあげたのでその流れでDFを見ると、特に問題はないのだが*3、今野の余裕のなさが気になった。顔面蒼白というわけではないが、体調不良なのか?というくらい、いつもに比べて必死すぎ。サイドバックはやったことないかもしれないけど、オシム曰く「2バックだ」だとすれば、サイドハーフだしなぁ。どうしたんだろ。復帰後の大舞台となる中沢は「みんなが期待してる中沢」。怪我さえなければ、前回の苦闘をしのいできた経験が生きるはず。川口とともに。その川口は、磐田でいろいろあったから大変かもしれないが、経験値とプロ意識はゆるぎないもののはずなので、大丈夫だろう。FKはコース、威力ともにすごすぎた。ノーチャンス。

それにしても、ようやく、「交代枠を使って何かが起こせる監督」になってよかった。羽生は決めないと。チャンスがあるうちに。これは他の選手にも言えるけどね。

というわけで、すっきりしない滑り出しの初戦。カタールの計画通り(前半は粘って体力温存して後半以降でたたみかけ)にハマった感は否めない*4のがなんとも悔しいなぁ。せっかくその堅守をこじあけたのに。「日本人ってホントにマジメなんだなぁ」と、改めてカタール代表から言われた気がする。ここでピークでも困るし、トーナメント進めないと困るし、ということでのんびり構えてる暇はないんだが、勝ち点はあるのだから焦らずに進んでほしいなぁ。

*1:打たないからフェイントにかからない→抜けないし、コースができない。いや、わかるよ、あのタイミングでコースはほとんどゼロだった

*2:打つのは構わないけど怖くない

*3:加地の調子に波があるのは今の始まったことではないし…

*4:試合を通じてずっと支配はしてたけど、前に行くスピードは残っていたし…という意味で

審判のコト。

高山さんだったのだけど、まぁ、そこそこ良かったと思う。最初「うわー…黄紙出し過ぎだろ…」と思ったけど、その後は割と的確にアドバンテージを見ていたり、試合をスムースに進行しようという意識を感じた。とはいえ、アドバンテージにして欲しい場面を全てそうジャッジできたわけではないし、ワシントンとポンテの言い合いを時間が経ってから仲裁しようとしたり、よく分からない行動もあった。うーん。もしかしたら、このところヒドイレフェリングばかり見てきたから、すごいスムースに見えたのかもしれないなぁ。でも、今日くらいなら次第点かと。